脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者池谷 裕二
販売元新潮社
JANコード9784101329215
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 心理学

購入者の感想

雑誌連載の脳科学エッセイの書籍化

池谷祐二の脳科学のエッセイの読み方

池谷祐二は脳をテーマにしたエッセイをたくさん書いている脳科学者。
どの本もエッセイとしては面白いが、内容的にはほとんどオーバーラップしている。
脳のメカニズムについて、脳と人間の行動の関係(連携)について知りたいと言うことであれば、
・『自分では気づかない、ココロの盲点(完全版)』
・『進化しすぎた脳』
この2冊を読めば、池谷祐二の脳科学の内容をほぼカバーしたことになる。
脳科学の知見を学習に役立てたいということであれば、さらに
・『受験脳の作り方』 (タイトルは営業的に”受験”となっているが、学習一般について)
脳科学についてではないが、
『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則』は英語発音についての名著。

活動している人間の脳を切り開くことはできないので、
脳に電極を刺したり、最近ではMRIで脳の活動を調べたりという実験が続けられているが、
まだまだ、その実態は解明できていない。AI人工知能の開発も、
人間の脳の仕組みを参考にするのではなくデイープラーニングというcomputingの方向に進んでいる。

池谷祐二が専門とする薬剤を使っての大脳生理学の世界では、
神経細胞・シナプス・ニューロンの働きが随分解明され始めたようだが、
このミクロの世界の説明と、人間の活動と脳の連携の説明は大きく乖離しているのが
脳科学の現状のようである。(脳のメカニズムの説明における中間部分の欠落)

池谷祐二が脳科学(業界)の神様と呼んでいるデイビッド・J・リンデンは、
その著書
『つぎはぎだらけの脳と心』
原題:The Accidental Mind : How Brain Evolution has given us
Love, Memory, Dreams and God (2007)
の中で、脳科学の”中間部分の欠落” を次のように述べている。

海馬の研究をしている薬学者による、最新の脳研究を分かりやすく解説した本。著者が『プレジデントファミリー』で「頭がよくなる玩具」特集に登場していたことから、どのように頭がよくなるのか知りたくて読んだ。

動物実験などのデータに基づいた人間の行動の傾向を、脳機能から説明していくと妙に説得力がある。それはあくまで傾向であって全ての人間に当てはまることではないのかもしれないけれど、ある程度までは普遍的だと知ることは有意義である。

「重要なのはストレス解消ではなく、解消する方法を知っていること」の項は深く共感。実験では、ストレスホルモンを増やす薬を点滴するのだが、注射量を調節できるボタンを用意しておくだけで、実際にボタンを押さなくてもホルモンが上昇しないという報告が紹介されている。「つらくなっても、オレにはこれがある」という思いが大事なのだ。趣味をもつことの大切さ。

そのほか、

・最初に言った意見をすぐに曲げないという行動は自己維持の本能に由来する

・仕事のできる能力は好奇心や注意力と関連する

・サルもギャンブル好き

・人が痛がっているのをみるだけで反応する「同情ニューロン」が見知らぬ他人の場合は反応しない

・意思が生まれる前に脳が活動を始めるので人間に自由意志はない(でも行動を思いとどまることは自由にできる)

・歳をとっても知的好奇心や注意力があれば記憶は衰えない

など、興味深いトピックがいっぱい。

また脳とコンピュータをつなぐ神経補綴学、遺伝子を解析してその人にぴったり合った薬を出せるようになる薬学など、最先端の研究も楽しい。

脳を活性化させるべく、さまざまなものに好奇心をもっていきたいなと思った。0

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