フランス短篇傑作選 (岩波文庫) の感想

オノレシュブラックの失踪、タナトスパレスホテル、クリスチーヌ、幼年時代等々、非常に興味深い作品が収められている。山田先生のセンスあふれる選択が光っている。

なかでもクリスチーヌが特に良かった。遠い記憶、ひと夏の出来事、フォートホープへの道、陰鬱な風景、巡礼者の地、厳格な清教徒、長く暗い廊下、隔離されている幻のような美少女、逆光に光る金髪、鍵穴から見た動かない眼差し、指先に輝く青いサファイア、シャベルで撒かれる砂の立てる陰鬱な音、、、、、連なるイメージからくっきり浮かび上がる物語はまるで印象派画家の絵のようだ。

「ヴェラ」オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン
「幼年時代」アナトール・フランス
「親切な恋人」アルフォンス・アレー
「ある歯科医の話」マルセル・シュオッブ
「ある少女の告白」マルセル・プルースト
「アリス」シャルル＝ルイ・フィリップ
「オノレ・シュブラックの失踪」ギヨーム・アポリネール
「ローズ・ルルダン」ヴァレリー・ラルボー
「バイオリンの声をした娘」ジュール・シュペルヴィエル
「タナトス・パレス・ホテル」アンドレ・モーロワ
「クリスチーヌ」ジュリヤン・グリーン
「結婚相談所」エルヴェ・バザン
「大佐の写真」ウージェーヌ・イヨネスコ
「ペルーの鳥」ロマン・ギャリー
「大蛇」マルグリット・デュラス
「ジャスミンの香り」ミッシェル・デオン
「さまざまな生業(抄)」トニー・デュヴェール
「フラゴナールの婚約者」ロジェ・グルニエ