学生との対話 の感想

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参照データ

タイトル学生との対話
発売日販売日未定
製作者小林 秀雄
販売元新潮社
JANコード9784103082071
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 論文集・講演集・対談集

購入者の感想

学生の質問に次々と答えていく小林秀雄の運動神経が素晴らしい。そして優しい。「なんで君はそんな抽象的なことを訊くんだ」と言いながら、きちんと答えていきます。この親切さ、熱さのせいで、小林秀雄を好きになってしまいました。これは魅力ある年長者です。学生たちを前に、自身の青春を振り返るいくつかの答えも何とも好もしいです。若々しいし、しゃれているし、率直です。もうひとつ言えば、難解なところはまるでありません。
かつてこの本の基になったCD(カセットテープ?)を聞いた大江健三郎さんは赤瀬川原平さんに、「面白かったけれど、学生が天皇制について訊いているところは、小林さんが学生をはぐらかしていましたね」と言い、やはりCDを熱心に聞いていた赤瀬川さんは「はぐらかしているとは思わなかったけどなあ」と感じたそうです。小林秀雄が唯一、天皇制について触れたと言われる箇所は本書にも収録されていますが、なかなかスリリングかつ極めて〈小林的〉でした。
「この難しい人生に対して答えなど出せない、せいぜいうまく質問ができるくらいだ」というのは実にいい殺し文句で、そういう質問をできるようになるための、実践教育の報告書、ライブ・レポートでもあります。

<もののあはれ>を知る心とは、本居宣長のお考えでは <この世の中の味わいというものを解する心>であり、<柔軟な認識>である、ということでした。そこから小林秀雄さんは掘り下げて <もののあはれ>を感じるには、対象への<共感>と<先駆的イマジネーション>を働かせて 対象と永い時間をかけて対話を重ねていくことが大切とお考えになりました。
 イマジネーションとは、空想や妄想ではなく、<理性><感情><直感>が働いた<充実した心の動き>であり、<血肉化された精神>なのだ、ということでした。
 対象に対して 愛をもってかかわる、という姿勢が 躍動するような生きた本物の知恵に結びつき、時間を超越した真理にいきつく、ということを 教えていただき感動いたしました。0

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