放射能と理性 なぜ「100ミリシーベルト」なのか の感想

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タイトル放射能と理性 なぜ「100ミリシーベルト」なのか
発売日販売日未定
製作者ウェード・アリソン
販売元徳間書店
JANコード9784198632182
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 原子力・放射線

購入者の感想

反原発・脱原発の本がずらりと並んだ中にひっそりと置かれた本書。『放射能と理性』というタイトルにひかれて手に取った。今こそ理性が必要なのに、なぜ人は放射能と聞くと理性的でいられないのか。

「初めに厳しい規制をかけておいて、あとから「安全です、心配しないでください」といくら言っても、一般大衆は聞く耳を持ってはくれない。」(p.146)

この言葉は今の日本の状況をよく表している。放射線について、健康への影響と放射線量の関係が線形(直線)であると仮定する"閾値なし直線"(LNT)モデルを採用して、基本的にゼロリスクで管理してきたツケがまわってきたのである。

この状況を打開するには、著者がデータをもとに説明しているように、

(1)現在の規制基準はLNTモデルを仮定して、安全側で設定したものであること

(2)疫学上、線量100ミリシーベルト未満で癌のリスクが上昇する証拠はないこと

を国と科学者のコミュニティが協力して国民に説明するしかないのだろう。必要なのは理性的な議論である。

福島原発の事故の後、自分でいろいろ調べてみたという方にも本書は有益ではないかと思う。私自身は、核分裂と放射性崩壊の違いについて頭の整理ができた。また、劣化ウランというのは何となくダーティーなものを想像していたが、実際にはウラン235を濃縮して取り出した後のものであり、放射能は天然ウランよりも低いことなど、本書を読んでいくつかの新しい発見もあった。

本書を読み終えた時、巻末の言葉をどう受け取るかは読者次第である。

「健康福祉に対する最大の脅威の源は、放射線というよりも、恐怖と不確実性と強制移住である。」(p.267)

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