明日戦争がはじまる の感想

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参照データ

タイトル明日戦争がはじまる
発売日2014-07-28
製作者宮尾 節子
販売元株式会社思潮社
JANコード9784783734383
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 詩集

購入者の感想

その頁を開いたとたん、特別な気持に満たされる作品、「春のひらがな」―読むたびに、泣きたくなる。
この詩を読むと、私は福島を思う。「フクシマ」といつのまにかカタカナで表記されるようになった、この地を思う。
「ヒロシマ」「ナガサキ」そして「ミナマタ」の名前も、思う。
宮尾節子さんの詩のことばは、私から遠くなかった。
それは、やさしいことばだからわかりやすいという意味ではなく、書かれた背景や詩人の意図とは関係なく、私のお守りのようになってくれることばが、この詩集の中にいくつもあったからだ。
かなしみの深い場所に、詩人は花びらを見つけてくれた。

「円周率と詩の話(あとがきにかえて)」と題された文章を読んで、ああ、やっぱり、と思った。
詩を書くとは、どういう行為なのか。何のために、それが為されるのか。
詩人が詩を「愛の行為」と呼ぶ、その意味が、この詩集を読むとわかる。
表題作の「明日戦争がはじまる」も。愛だ。こんなに読者に「ありがとう」を伝える詩人を、私はほかに知らない。

どうしても、じっくりと読むことのできない作品もあった。
震災後まもない現地での様子。文字で辿ることは、なぜこんなに、まだ苦しいのかと思う。自分自身に問う時間をもらったのだろう。
そう考えながら、別の問いも浮かんでくる。わたしは「詩」を読んでいるのか。詩の生まれた場所を見ようとしているのか。
深く読みこむことができたらいいのだが。簡単にこたえを出そうとしないでおこう。
今は読めないことばをいつか読めたとき、この詩集はよりいっそう、なつかしい友人のような一冊となってくれるだろう。

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