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このアルバムこそ山崎まさよしの最高傑作ではないかと思う。
その証拠に現在においても彼のライブではこのアルバムに収録されている曲が多く演奏されている。
個々の曲の完成度もさることながら、アルバムにおいてのバランスも凄く心地が良い。アップテンポなナンバー、スロー、バカ歌、バラードがうまい具合に同居している。
また曲順もリスナーを飽きさせないように考え抜かれている。
私にとって最高の一枚。

全章が、すこしずつ、前章の予兆を受けて、連なって進行し、最後に霧が晴れるように、全貌が明らかになる。各章が、互いにつながりのある人々の物語として進行する。
第一章の、不可解な、夢か幻覚でも見たのか？というおぼろげな少年の記憶が、最終章まで、なにかの余韻をともなってつながっていき、最後に、夕闇の中の幻想のような光景の正体がわかる。過去に封じ込めた恐ろしい記憶がよみがえり、謎が解ける。

第二次大戦ののちの、朝鮮戦争、東西冷戦の数々・・それらに転属された黒人兵士の処遇。その時代の黒人の生き方、強い迫害と人種差別の現実、黒人どうしの共感と友情、反目と苦悩、貧しさと無教養・・・ごく普通の黒人たちの日常を描いているが、根底には黒人の哀しみがあり、魂の鎮魂歌が漂っているような余韻がある。先に望みの見えない日々。朝鮮戦争で背負った心の傷を癒す場所のなさ、つかみどころのない生への恐怖。

劇のシナリオみたいでもあり・・・

悲哀に満ちた人生。
ずしりと重い感触の小説です。

この時代の空気を表現しつくしている、巧い。黒人差別のなかで、それぞれの黒人の生き方と心情を文学的に表現して、かつ抒情詩のような余韻があるのは、作家が黒人で1950年代を体験したからだろう・・・構成が巧い。お勧めです。