ぼくの住まい論 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | ぼくの住まい論 (新潮文庫) |
発売日 | 2014-12-22 |
製作者 | 内田 樹 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101260624 |
カテゴリ | アート・建築・デザイン » 建築 » 建築文化 » 住宅建築 |
購入者の感想
「『みんなのためのための建物』をつくろうと思ったら、どこからともなく資金も知恵も集まってきた」と書かれた箇所が何度もよみがえってきます。
この本を読むと、著者の宿願だった合気道の道場兼自宅の完成までの苦労話もさることながら、人間が生きていく力をそのつど備給していく場所としての住まいの機能が、実に丁寧にときほぐされていると感じました。「武道と能楽と寺子屋塾」と位置づけ、「出会いの場」であり、「アジール(避難場所)」や「母港」でもある住まいには、人の精神的支柱となったり、実際に足を踏み入れる者には、邪気を払い癒す力を与えているのではないかと思いました。
きっといろいろな人が、他者への「敬意」をもち、それぞれの人が持ち寄ることができる技術や品物によってつくられた家であることが重要なのに違いありありません。そこでは、さまざまな物や情報が流通し、決して滞留することない、生き生きとした活力がみなぎることになるのでしょう。
住まいが主に木で出来ていることには、効率主義からは縁遠い「みんなの家」ならではの思いが込められているように感じました。
今、「住まい」といえば、他人からの干渉を極度に排除し、徹底した防犯システムによって、外部から遮断されたような「個人」を強く意識させる創りが主流のような気がしています。しかしこの本からは、外部へ解き放たれ、さまざまなものを「パス」する人々によって創られたネットワークステーションとしての「住まい」の将来性が期待されています。
よい「住まい」とは、つまるところ自分以外の人に、ちょっとした勇気をもって、しっかりと「パス」できる人が集まって創られる空間なのではないかと思いました。
この本を読むと、著者の宿願だった合気道の道場兼自宅の完成までの苦労話もさることながら、人間が生きていく力をそのつど備給していく場所としての住まいの機能が、実に丁寧にときほぐされていると感じました。「武道と能楽と寺子屋塾」と位置づけ、「出会いの場」であり、「アジール(避難場所)」や「母港」でもある住まいには、人の精神的支柱となったり、実際に足を踏み入れる者には、邪気を払い癒す力を与えているのではないかと思いました。
きっといろいろな人が、他者への「敬意」をもち、それぞれの人が持ち寄ることができる技術や品物によってつくられた家であることが重要なのに違いありありません。そこでは、さまざまな物や情報が流通し、決して滞留することない、生き生きとした活力がみなぎることになるのでしょう。
住まいが主に木で出来ていることには、効率主義からは縁遠い「みんなの家」ならではの思いが込められているように感じました。
今、「住まい」といえば、他人からの干渉を極度に排除し、徹底した防犯システムによって、外部から遮断されたような「個人」を強く意識させる創りが主流のような気がしています。しかしこの本からは、外部へ解き放たれ、さまざまなものを「パス」する人々によって創られたネットワークステーションとしての「住まい」の将来性が期待されています。
よい「住まい」とは、つまるところ自分以外の人に、ちょっとした勇気をもって、しっかりと「パス」できる人が集まって創られる空間なのではないかと思いました。