日本は外国人にどう見られていたか (知的生きかた文庫) の感想
参照データ
タイトル | 日本は外国人にどう見られていたか (知的生きかた文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 「ニッポン再発見」倶楽部 |
販売元 | 三笠書房 |
JANコード | 9784837982944 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
本書のタイトルの頭書(表紙カバー)には「幕末・明治」とあるが、トピックの全てが「幕末・明治」に限定されているわけではない。例えば、フランシスコ・ザビエル、アレッサンドロ・バリニャーノ、ルイス・フロイスらに依る記録(書簡集、『日本巡察記』ほか)に観る戦国期、ルース・ベネディクトの『菊と刀』などに観る昭和期など、多少時代が離れるものがある。これら以外はほぼ「幕末・明治」ないし大正期に、当該外国人が観察し感じ取ったニッポン事情を中心として展開される。本書を特に評価できるのは、著者が「『ニッポン再発見』倶楽部」という匿名ながら、『外国人にどう見られていたか』の検証について、ほぼ同時代の来日外国人の記録、即ち1次史料(翻訳書または2次資料・文献)に基づいており、逐一引用・参照文献を明示し、かつ章末毎に参考文献一覧をきちんと列挙していることである。昨今の歴史関連の単行本でさえかかる当然のルールが順守されていないことを考慮すれば、この価格の文庫本でここまで丁寧に史資料を明示するのは稀有と言って良い。そうした意味では本書がたとい匿名著者であっても、歴史考証のあり方については本書は評価すべきものと考える。