オープン・サービス・イノベーション の感想

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タイトルオープン・サービス・イノベーション
発売日2013-09-19
製作者ヘンリー・ チェスブロウ
販売元阪急コミュニケーションズ
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オープンイノベーションとは、異なる企業間のコラボレーションによる新しい価値を生み出すこと、である。
組織の定義で言うと、「組織とは共通の目的による2人以上の諸力の集合である」と定義される。
ここから言うと、オープンイノベーションとは、企業を越えて「組織」が次々と生まれることを意味する。

企業は、ある部分で企業の維持が目的となっている。それは「法人の在り方」でもあるのだが、「法人」は「自然人」と同じように「生存願望」がある。成長願望も、権力志向もある。
ただ、そうした「法人」が、「自然人」に近いものとして認識、存在してきたのが従来だとすれば、これからの「法人」は、より純粋な「組織」に戻っていくのではないか。

要は、「ある目的に対して、協力する個々人の集団」になっていく。

ソーシャルベンチャーにしても、オープンイノベーションにしても、ある目的(新しい価値の付与、社会的問題の解決、満たされないニーズを埋める新製品開発、新規領域での利益創出、等)のために、何が最短か、という思考から始まっているように思う。
純粋な組織、目的が明確化された組織を作り、最短距離で目的達成に向かおう。
これは「成功する企業にはビジョンがある」といった、90年代からの「ビジョン論」の流れ、経営学だけでなく、個人レベルでも成功哲学で「夢見ればかなう(ただし、夢をなるべく具体的に描くこと)」が一般化してきた概念、「時代の思考」だと思う。

目的をいかに最短で達成するか、そこをフォーカスしたとき、既存の法人は姿形を変えるだろう。
とはいえ、既存の法人は雇用や設備、債券など、多くの資産と利害関係者を持っている。そこは保守的な力となる。
目的に対して、いかに最短距離で動ける組織を作るか、ということと、既存の利害関係を保持する、という相反する力をいかにマネジメントしていくか。それがこれからの経営に求められる一つの視点になるだろう。
海外のものだが、具体的な事例も多く取り上げられているので、本書はその一助となりそうだ。

モノに下支えされたサービス全体を顧客への提供価値として考えるサービスイノベーションは日本でも世界でもまだまだ未開拓の分野だと思いますが、
UCバークレーのオープンイノベーション・センターのエグゼクティブディレクターであるチェスブロウ先生は、
IBMを徹底的に研究されたサービスイノベーションの第一人者でもあり、「サービスにおけるイノベーション」の概念の規定もわかりやすかったです。

モノの提供をゴールとしてきた多くの日本メーカーに対して、「モノを媒介としたコトづくりによる提供価値とは何か」
「ものづくりだけでなく、コトづくりにおけるオープンイノベーションとは何か」という課題を与えている良書だと思いますので
昨今、苦しんでいる国内メーカーの方々におすすめです。

また「ものづくりとは付加価値のある設計情報を媒体に作り込むこと」という「広義のものづくり論」を展開する
東京大学ものづくり経営研究所長の藤本隆弘教授の「ものづくりからの復活」や一橋イノベーションセンター長の延岡健太郎教授の
「価値づくりの経営ー日本製造業の生きる道」を合わせて読むと、「モノを媒介としたコトづくりによる価値づくりとは何か」の理解が深まるので
良いと思います。0

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