ビジュアライズド　イラストレーションズ　How to Endodontics の感想

歯科治療に双眼の同軸光源照明がついた顕微鏡が使われるようになって、そろそろ20年だという。かくいう僕も、この10年お世話になりっぱなしだし、それなしでは、仕事が終わる日がない。そして歯科治療のためにＣＴの画像診断を行うことすら日常的な風景だ。

寺内先生は、そんな現代的で歯を長期に渡って残すことの可能性が非常に高い歯内療法を追求し続けているドクターのトップランナーのお一人です。

彼の仕事は、確かにその結果だけを見れば超絶級の名人芸にしか見えないのだけれども、それを裏付ける理論と実証 evidenceをきちんと引用して、微に入り細に入りすべてのステップを理詰めで解説してくれる。この本を一読したからといって彼と同じ結果がすぐに出せるはずもないと思うけれども、もし、少しずつ、時間をかけて、すべての工程を理解しマスターしていけば、恐らく歯内療法の専門医レベルに到達できる可能性があるくらいの内容がある。そして、厳選されたリファレンス（参考文献）を紐解けば、彼がどのようにしてディシジョンメイクをしているのか？その根拠は何か？ということも良く理解できるだろうから、彼と同じように自分で考えていける歯科医師になる近道となり得るだろう。

スペシャリストの教科書として門外漢の僕もその内容と密度に衝撃を受けました。日本の歯科が悲しむべき状況に陥りつつある現在、こういった教育が１日も早く大学教育に取り入れられることが望まれます。若い歯科医師達は是非、一読ではなく熟読して、技術を模倣するところから習得をはじめて、高度な結果が出せる方法論というのはどこから来るのか、どうやって発展させていくのか？ということを学ぶのに最適な一冊であると言えます。