赤ひげ [東宝DVDシネマファンクラブ] の感想

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参照データ

タイトル赤ひげ [東宝DVDシネマファンクラブ]
発売日2013-08-02
監督黒澤 明
出演三船敏郎
販売元東宝
JANコード4988104078070
カテゴリDVD » ジャンル別 » 日本映画 » ドラマ

購入者の感想

185分の1965年の白黒映画。長尺なため、途中で一度休憩が入るが(その間は、音楽だけが流れている)、長さは感じさせない。これはひとえに、映画が一つの軸になる物語を中心にしておらず、複数の短い物語を集めたものであるためであろう。重厚な長編というよりは、オムニバス形式の短編集を読むような気分で見ることができる。それぞれの物語は、魅力的であるが、一つの骨太のメッセージを伝えるというより、複数の物語から、庶民の生活の喜怒哀楽が描かれ、これが主題(題名からは、仁術をほどこす医師の姿勢が主題と想像されるが)。三船敏郎が主役の一見気難しい医師役だが、コミカルな演技が多く、悲惨な庶民の物語を明るくしているのは三船の明るい演技による。江戸時代の話なので、医師が治療できる病気はないと三船のセリフにもあり、この映画の医師の役割は、むしろ精神科のカウンセリングのようなものに近い印象。三船以上に出番が多い加山雄三は、物語の進行役といった役割で、本当の主役は、それぞれのショートストーリーの主人公。香川京子の演じる“狂女”は、美しく恐ろしい。加山とのシーンは恐怖映画以上の緊張感。“六助”の根岸明美は、10分あまりのセリフだけで悲惨な女の生涯を語る。゛左八“の山崎努と桑野みゆきの悲恋談は、山崎が限りなく優しい男を好演し、映画のなかで最も印象に残る。”おとよ“と”長次“は一つの話になっており、子役の二木てるみ(キャッチライトによる光る目が印象的)と頭師佳孝の泣かせる演技。日本語字幕をオンにしたほうが、セリフは聞き取りやすい。

私は、黒澤映画全作品を劇場でみまして、「赤ひげ」が一番好きです。
映画というのは、「嘘の世界」ということが前提であることはわかっていますが、
今は、心を病んでしまい仕事ができなくなりましたが、
20年近く福祉の仕事に携わってきました。
その福祉の精神の原点が、私にとってはこの映画でした。
何も語らずに死んでいく六助、赤ひげは保本に「人間の一生で臨終ほど荘厳なものはない、それをみていろ」
と言い残し、セリフのない六助は、死の悶絶、保本はその凄まじさにたじろぐ、六助の死後に娘が診療所を訪れ、
何も語らなかった六助の壮絶な人生をきき、保本は初めて「人間の臨終での荘厳」を知ることとなる。
今の福祉の世界、医療でもそうだが、人の人生に携わるという精神から逃げてしまっており、
あくまで、対象者と専門家という一線を引いてしまっているが、
困ったこと、痛い場所を聞いて、それに対応する福祉制度や、痛みに対する対象療法だけで、人は救われるのだろうか。
福祉の世界の常識として、対象者と個人的な関わりも持つことは厳禁になっており、亡くなっても通夜や葬式に行くことも禁じられている。
そこに、人としての関わりを持つことに、厳しい拒否があるのが福祉、医療の現実である。
人となりを知ってこそわかること、それを知らないと、簡単なアセスメンドごときで知ろうと思う精度は、
「官僚(政治家)が考える人に対する驕り」だと思う。
赤ひげはいう、「医者というものは無力なものだ、専門的な知識や知恵はあっても、どんな病気も治すことはできない。ただ、その人が持っている力(生命力)に対して、少しの助力をすることができるだけだ。」
医療は専門医制度になっており、自分の専門外のことには、踏み入ろうとはしない、いや踏み込めない。
福祉も、即席で作った資格をとらせることで専門性を持たせているが、そのほとんどは、外国からの輸入品で、日本の文化に馴染む、馴染まないは問われない。しかも、医療と同様に、専門家が進むことで、自分の専門外のことについては、無関心だ。それを総合的に勘案する立場の人は福祉にはいない。

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