二重人格 (岩波文庫) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル二重人格 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者ドストエフスキー
販売元岩波書店
JANコード9784003261323
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ロシア文学

購入者の感想

小心者で卑屈で家柄も才能もない下級官吏ゴリャートキン。その彼の前に、ゴリャートキンとは正反対の、人生の成功者である、だが同じゴリャートキンが現れた! ゴリャートキンは、自らの願望が産みだした幻影に喰らいつくされ、狂気へと向かっていく・・・。
「二重人格」というタイトルのため、「ジキル博士とハイド氏」のように、一人の人物がまったく違った二つの性格を持つ物語なのかと誤解してしまいますが、原題は「ドッペルゲンガー」なので、そのままのタイトルにするか、訳すのであれば「幻影」や「幻覚」といったタイトルのほうが内容に近かったように思われます。ゴリャートキンの別人格、ではなく、彼が造りだしてしまった幻影として読まないと本意がつかめません。
ゴリャートキン氏が自己イメージと現実のギャップに苦悩するあまり、自分がありたいと願う自己イメージの投影が、意識をもって勝手に動き出してしまったというところでしょう。ゴリャートカというのは、ロシア語で「はだか」という意味だそうですが、自分の弱さが剥きだしのゴリャートキン氏と、きっちり社会性という仮面を付けたその他の登場人物の対比は鮮やかです。とくに救いのようなものを設定せず、ただ読者を突き放すやり方は、読者に自分自身を省みるきっかけを与えているのではないでしょうか。
実り多い作家生活を送ったドストエフスキーの第二作ですが、すでにその卓越した人間観察眼は如何なく発揮されています。ドストエフスキー自身はこの作品に大変な愛着を感じていたそうですが、残念ながら他の壮大な作品群に比べると、どこか奥行きに欠ける作品のように感じました。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

二重人格 (岩波文庫)

アマゾンで購入する
岩波書店から発売されたドストエフスキーの二重人格 (岩波文庫)(JAN:9784003261323)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.