Animal Encyclopedia の感想

一般の動物愛好家や生物学科の学生、動物が好きな大学受験生にお薦めの、英語版こども動物百科。値段も手頃。配列はABC順。

９−１２歳向けとあるように、本格的な百科事典ではない。学名がなく、代表的な属・種が網羅されているわけでもない。　収録対象も、圧倒的に脊椎動物に偏っている。

しかし、この事典を高校生のリーディング練習のためのテキストとして使い始めて分かったのだが、英文のレベルはセンター試験の練習にちょうどよいと思われる。　私は教員ではないので、他の受験教材の幾つかと比較しての単なる感想だが、語彙はセンター試験レベルのものがよく使われており（東進ブックス　フォーミュラ1700参照）、構文も高１〜高２の教科書同等と感じた。

従って、本書は平均的日本人の英語力で問題なく読むことができる。　英語に限らず外国語の分野別子供百科事典は、その分野の愛好家・専門家なら言語外事実（レアリア）が分かるので、知らない単語でも文脈で殆ど推定でき、趣味と実益を兼ねた絶好の外国語副教材になる。

読み込むにつれ、写真が標本写真的で生態写真が少ないのは余り気にならなくなり、過不足のない、素直な英文に感心することが多くなった。

本書を「多読」用途にするときの欠点は1.8Kgと重過ぎることで、寝転んで読むのは無理なので、持ち歩き用にペーパーバックの縮刷版が欲しい。

（2011.09.03 追記：私が本書を丸ごと１冊使って英文多読の指導をした、あまり英語が得意ではなかった生物部の高校生は、その後、志望の国立大に合格している。）