田中角栄回想録 (集英社文庫) の感想

話題は多岐に及びますが、特に印象深かったのは教育問題です。

『(子に)親がわからせてやる責任を放棄しちゃってる・・・小さい時から善悪の物差しを示してみせ、けじめをつけさせなければならん・・・公益は私益に優先するのかしないのか、憲法は私益に優先するのかしないのか、こうした一番の基本が今の教育基本法には全く欠けているんだよ』

教育は国家百年の大計と言われますが、道路や経済の問題だけではなく、真に日本を愛し、又、将来を担う若者をわが子のように想っていた田中の父親的温もりが伝わってきます。

最も信頼され、最も近くで仕えた者だからこそ知る田中の素顔、そして本音・・・その２３年分が詰まっています。