ひとはなぜ服を着るのか (ちくま文庫) の感想

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参照データ

タイトルひとはなぜ服を着るのか (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者鷲田 清一
販売元筑摩書房
JANコード9784480429902
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

現象学の研究などでも著名な哲学者が、ファッションを「社会の生きた皮膚」として捉え、そういう皮膚科
の技師や療法士でありたいと希望して書いたものであり、著者自身ことさらに愛着のある本だという。性差
が服装の差異を決めるというよりは服装の差異が性差の意識を象徴的に際立たせること、気まぐれに変貌する
モードには必然性を演出するテクニックが必要になること、ファッションは社会の規範を身体に記入する営み
であること、といった独創的な問題意識が充実している。ファッションというのは、バルトいわく「愛の流動
性」あるいは「欲望の曖昧な対象」だという。形而上学的な服飾として活用すべきテクストといえるだろう。

「たとえば話すという行為は、人間の自然的な発声を、ある既定の音韻システムにしたがってその全体を
変換することによって可能になります。赤ちゃん…は…、ある時期から『あいうえお』という日本語の母音
でしか発音できなくなります。…ふるまいやしぐさといったそれぞれの文化がもっている身体使用のスタイル
も、人体の自然な運動をある規則や様式にしたがって内側から組み換えたものにほかなりません。…表情も、
ある社会的な意味の組織のなかでひとびとがたがいに『読み合う』ものです。…ファッションもまた、…
言葉やしぐさとともに、…人間の文化を構成するもっとも基礎的な次元の一つなのです。」(21〜2頁)

「想像された自己の身体像こそがわたしたちが身にまとう最初の衣服であるとすると、衣服はもはやわたし
たちの存在の覆いなのではありません。それなしにわたしたちはじぶんの存在を確定できないわけですから、
それはむしろ、わたしたちの存在の継ぎ目ないしは蝶番(ちょうつがい)とでも言うべきものです。衣服は
人間という存在のギプスである、…あるいはもっと端的に、身体はまずは衣服である、と言ってもいいかも
しれません。…わたしたちにとって身体がまずはそういう想像の産物であるからこそ、ちょうど服をまち
がえることがあるように、身体をまちがえたと感じることもあることになるのでしょう。」(32〜3頁)

アパレル業界のひとには、必須の参考書です。なぜ服を着るのか?がわかっていれば、その人の琴線に触れる接客ができます。好みとか面白いとかの底のあるものがわかります。衣料品を扱う人はみんな読んでほしいです。

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