名画に見る男のファッション (単行本) の感想

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参照データ

タイトル名画に見る男のファッション (単行本)
発売日販売日未定
製作者中野 京子
販売元KADOKAWA/角川書店
JANコード9784041107232
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

『怖い絵』シリーズで多くの読者を魅了した著者が、2010年から共同通信社の配信で各地方新聞に10回連載した後、しばらく時をあけて角川書店の『本の旅人』誌に2年ほど書き継いだ原稿をまとめた一冊です。
 西洋絵画に描かれた男たちのファッションを取り上げてこれほどまでに興味深い書をまとめる著者の鋭い着眼点と達意の文章には脱帽です。

 かつてはゴムもファスナーもホックも存在せず、身にまとう物の着脱に相当な時間と手間がかかった時代がありました。それならば出来る限り簡素な服装を編みだせばよいものを、西洋文化ではクジャクのごとく女性以上に男性のほうが華美なファッションを、使用人の助けを借りて競うように身につけるまでになりました。

 現代の目から見れば異装としか形容できない身なりをまとった男たちが描かれた30の絵画を、見事に印刷された図版とともに著者はひとつひとつ丁寧に解説していきます。
 15世紀には男性のトンガリ靴プーレーヌが大流行。労働に不向きなこのデザインはだからこそ上流階級が自らの地位を誇示するために開発されたとの由。トンガリ部分の長さは階級の違いによって厳格に差が決められていたほどだとか。
 17世紀オランダはプロテスタントであるがゆえに黒を基調とした地味な服装がはやったが、ラフと呼ばれる襟巻を白にすることでアクセントをつけていたそうです。
 女性が優勢な18世紀ロココ時代にはカツラが流行する一方で男性的なヒゲの流行は皆無となったという相関関係の妙も初めて知りました。

 つい先月読んだ『中野京子が語る 橋をめぐる物語』は北海道新聞に連載した原稿を編んだ書でしたが、共同通信の配信/雑誌への掲載をまとめたこの『名画に見る男のファッション』といい、達意の文章を紡ぎ続ける著者の精力的な執筆活動に敬意を表したいと思います。

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