絵でみる和漢診療学 (JJNブックス) の感想

私は歯科・口腔外科領域の診療で僅かながら補助的にツムラのエキス製剤を処方しており、少しだけ掘り下げてみたくて購入致しました。

内容は、絵が多用され、非常に分かりやすく、軽く目を通すことが出来ます。
漢方とは？
証とは？
そういった基本的なことを知りたいという程度のことであれば十分とも言えます。

内容は、漢方の基礎や診察法について、また主な生薬や方剤についての説明（これ図解でわかりやすい）さらに個別の症状ごとの解説など、一通りは漢方についてを網羅しています。

私の様に補助的にエキス剤をまれに用いる医師・歯科医師の先生方や、理解を深めたいコメディカルには良いかもしれませんが、実際に和漢診療を中心として診療をされる先生方は同じ著者の「症例でみる和漢診療学」の方がレベル的には良いのではないかと思います。現在は医学部ではコアカリキュラムにも取り入れられていたり、86％の先生が何らか漢方を処方しているとのことですから、医師の先生方はそちらの方が必要かもしれません。

富山大学和漢診療学教室でも、短期研修等の際には「症例でみる〜」を読んでおくようにと推奨されています。

和漢診療学とは東洋医学と西洋医学を臨床の場で両者を活用して治療を行う医学です。西洋医学中心の日本の医学教育だけでは学べない診断学を分かりやすい図入りで解説してあります。臨床の現場で漢方薬も処方しているけれど漢方薬の詳しいことは分からない、という先生方に一度読んでいただきたい一冊です。この本の元になっている「症例から学ぶ和漢診療学」（寺澤捷年著　医学書院）もあわせてお勧めです。