建設業者 の感想

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誤解をおそれずに、あえて申し上げます。
たいていの「大人の男」だったら、本書に登場する37人の職人たちに、
嫉妬か畏敬か、あるいは、その両方を抱くのではないでしょうか。

もちろん彼らより技能や収入で上回る自負をお持ちの方の中には、優越感こそ
覚えても、うらやんだり、うやまったりなどしない人だっているでしょう。
壊す、吊る、割る、立てる、切る、削る、引く、背負う、積む、組む、吹き付ける、
はめ込む、張る、彫る、葺く、塗る…等々、すべてしんどい仕事ばかり。

自分勝手な「創意」なんか入る余地は一つもなく（一方で「工夫」は、必須）、
施主も設計者も発注者も厳密で、そして何よりも納期が厳密な「仕事」の数々。
しかも昨今の厳しい世相を反映して、労は多く、益はさらに少ない「仕事」。
だが、そうした「仕事」を続ける発言のそれぞれが、なんと胸に響くことか。

もちろん、多くの同業の方や近接する業種の方たちが、たとえ一言も
発しなくとも（アマゾンも開かず、そもそも本など一冊も読まなくとも）、
日々、いまこの瞬間にも、立派に職を全うされているはず。当然です。

たとえそうであっても、いや、そうであるからこそ、本書の37人が、
具体的な仕事内容に即し、自身の経験を分りやすく話してくれていることで、
改めて「つくりあげるということの有り難さ」を、再認識させられる。
そして「ああ《すまい》にかかわることは、やはり究極のモノづくりなんだ」
ということを痛感させられる。

宮大工、宮彫師のような、いわゆる貴重な伝統を継承する職人の方ももちろん
登場するが、心を揺すぶられるのは、必ずしも「昔ながらの伝統」ではない。
非破壊検査、ウレタン吹き付け、建具吊り込み、突き板屋さんのような、施工には
不可欠ながら一般には知られない、比較的「新しい職能」を積み、実践している
職人の方々が、次々に登場する。だから、ページをくる手が止まらない。

そして、強面の鉄骨鳶の親方（表紙の方）で始まった本書は、