靖国問題 (ちくま新書) の感想

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参照データ

タイトル靖国問題 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者高橋 哲哉
販売元筑摩書房
JANコード9784480062321
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 神道・祭祀 » 神社

購入者の感想

何かに対して自分の意見を持つには、ある程度の知識が必要になると思う。何も知らないのに考えを述べても、説得力を持たないからだ。いつもそう思ってる。だからどんな分野でも、たとえ興味がそんなに無かったとしても、できる限りしっかりしとした意見を持つために、新書・文庫程度の本を一冊は読むようにしている。この本もその一つ。

例えば、公職についてる人の靖国参拝に賛成か反対か。何が問題になっているかもよくわからないで、ちゃんとした答えが出せるのだろうか。そんなスカスカの意見で誰が納得するのか。

とりあえずこの本を読めば、何がどう問題になっているのかぐらいは理解することができると思う。著者は首相の公式参拝等には断固反対の立場だけど、必ずしも著者の意見が正しいとは限らないとは思う。(自分はこの本を読んでダメだなあとは思った)

ただ、賛成する人も反対する人も、著者の意見を一方的に信用してしまわないようにすれば、知識を得るという意味でこの本を読むだけでも、非常に役立つと思う。

小泉純一郎元首相の、自民党総裁選での票ほしさの動機からする「靖国参拝公約」が物議をかもし、靖国論議が活発化しはじめたのが2001年。その4年後に、騒ぎがますますヒートアップする中で出されたのが本書だった。

そのころ世間一般では、靖国問題とは、要するに中国・韓国が日本の首相の行動に文句をつけてきたことから始まった外交問題であり、「A級戦犯」だけを「分祀」して、文句を言われない靖国神社へと改編しさえすれば収まる問題だとかいう見方が、かなりはびこっていた。

そして、この問題をめぐる意見の分水嶺は、「外交上の利害得失を考えて、折れるべきところは折れるがいい」という主張と、「一国の戦没者追悼のあり方が、外国の横やりで左右されるような国であっては情けない」という主張との分かれ目にある、というような俗論が、かなりの人の頭を占領してしまっていた。

それに対して、この問題はもっと多くの論点を含む問題であり、靖国神社国家護持法案がさんざん論議されて廃案になった際の政教分離論争や、さらにさかのぼって明治以来の一連の侵略戦争の精神的支柱であった戦前の靖国神社の性格などこそを見つめ直さなければならないということを、はっきりと打ち出した点では、本書は世に貢献するところがあったと思う。

が、それから10年、右翼でない大学の先生などが、靖国問題といったらまず学生に第一に推薦する本として本書を挙げて、「平和教育」に努めてきたわりには、世論の動向を左右する力としては、本書はまったく無力であった。そのことは、第二次安倍政権時代の近年になってあまりにもはっきりしてきてしまっている。

こうなったのは、本書が、戦前の「神社非宗教論」による国家神道思想の押し付けの欺瞞性や、江藤淳の主張した「靖国は日本の鎮魂の伝統に立つものであり、固有の文化の問題だ」という主張の根拠薄弱さを暴いた点などにおいて、優れた論考になっている反面、最後の結論においてあまりにも空想的平和主義に偏りすぎて、ふつうの常識人にはついてゆけないものになってしまったためではないだろうか。

「哲学的論理で解決の地平を示す」という紹介文に興味を持ち、本書を購入しました。
「感情の錬金術」という興味深い表現や、
歴史認識には植民地との関係を問い直さなければならず、
首相らの靖国参拝には合憲とした判決が無いとの正しい指摘もあるのですが、
結論ありきの論調に、哲学的論理はありませんでした。
最後の石橋湛山の靖国廃止論に至っては、都合の良いように解釈してるとしか思えず
高橋氏に失望しました。

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