作曲家・武満徹との日々を語る の感想

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参照データ

タイトル作曲家・武満徹との日々を語る
発売日販売日未定
製作者武満 浅香
販売元小学館
JANコード9784093876131
カテゴリエンターテイメント » 音楽 » 音楽理論・音楽論 » 音楽史

購入者の感想

奥さんだった浅香さん、やはりあっての、武満徹だったこと、それは谷川さんインタビューの対話集でも感じられたけれど、まさにそのとおりだし、それは浅香さんにしても同じこと、武満徹あっての生活だったのだという感想を持つ。単に仲のよい夫婦、というと描写だと貧困になる。

武満さんはラジオの「青春を語る」のなかで、「もちろん、いまはお互いいろいろ不満もあるでしょうが・・」と当たりまえの夫婦であることを感じさせる言葉も率直に言っていたけれど、武満さんの底にある無邪気さ、浅香さんのある種、楽天性、柔軟さとがうまい具合に噛み合ったものだなあと御夫婦の歴史を聞いていて思う。

たとえば喧嘩の時、「お金があったら離婚する」と徹さんが言えば、「じゃあ慰謝料くださいね」と浅香さんが言うとする。徹さんは「だからできないんだよな」と部屋を出て行く。浅香さんはけっこう落ち込んでいる。
しばらくすると徹さんは「ねえねえ」とさっきのことは忘れたように話しかけてくる。

インタビューする編集者の大原さんの柔らかな問いかけといい、そこには気持ちのよい程度の親密さもあって、浅香さん御自身が、過去のふたりの生活をまるで昨日のことのように鮮明に正確に思い出しながら、気持ちも流れるように語られているのが読者にそのまま届く。

徹さんのなき日々を、「悲しい」というよりも「つまらない」と浅香さんは言う。
「しゃべったり、けんかしたり、そういう仲間がふっといなくなった、何かあったとき感想も言いたいし、文句も言いたい・・。それを言う人が、いなくなったというのがね・・」

どうでしょう、ごく普通の夫婦のようで、あながち現代はすごく幸せな御夫婦だったということなのかもしれない。

もちろん、いちばん身近からの証言、音楽家・武満徹の様々な出会い、曲が生まれて来たその時代をたどることのできる貴重なインタビューでもあります。

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