母さんのコロッケ ~懸命に命をつなぐ、ひとつの家族の物語~ の感想

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参照データ

タイトル母さんのコロッケ ~懸命に命をつなぐ、ひとつの家族の物語~
発売日販売日未定
製作者喜多川 泰
販売元大和書房
JANコード9784479793298
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

「出版不況」と言われている昨今で、最近マスコミ(特にテレビ)で話題になった本といえば、2010年一番売れた本で、映画化、マンガ化、アニメ化と続いている通称「もしドラ」、2011年の本屋大賞を受賞し、2011年秋クール、フジ火10時枠でドラマ化もされた「謎解きはディナーの後で」などが挙げられる。

 私自身「もしドラ」は読んでよかったほうだとは思ったし、「謎解きは」は原作は読んでないがドラマは見て、「まぁアリかな」とも思った。
 しかし、本書を読んだ後だと微塵もそんなことを感じない。
 もし本書を読んだ後にそれらを読んだら、たぶん最低の評価をしていたのではないかと思う。

 最初は登場人物を家系図と合わせながら見ないと分かりづらいなど、ちょっと苦労するところもある。
 しかし、物語が進むにつれだんだん核心に近づいてくると、すごい教えと感動が迫ってくる。
 私がそう感じたのは、秀平が子供たちに語った言葉。
 
 普段から「日本人はもっと自国を愛し、誇りを持たないといけない」と感じているのでこの言葉はグッとくるものがあった。

 喜多川泰の著書を多く読んでいる人にはもちろんだが、主人公の秀平と同じように人生に情熱を持ちながらもそれを実現できないことに行き詰まりを感じている人には読んでほしい。
 きっと「2つの使命」を考えることになるだろう。

大学に入るため、いい会社に入るため、そんな目的で勉強している子供たちに「挑戦する勇気」を与えるための塾を新設した主人公・秀平が、たまたま買ったキャンディをきっかけに家族の絆や幸せについて考えていく物語。

バブルがはじけて不況になりリストラや自殺者がたえない大変な時代に生きている、とよく言われるが、戦争があった時代、食べるものに困っていた時代に比べて本当に大変か?を改めて考えるきっかけになった。

著者があとがきでも触れているよう、ボクたちが生きている今だけが大変な時代ではなく、どの時代も大変で、そんな中で「子供たちのために」と勇気を振り絞って生きてきた思いと覚悟を再認識できた。

特に印象に残ったのが文中の使命について振り返る場面で、

「今は昔と違って個人の幸福を最大限追求することが許されているにも関わらず、本来の幸せとは遠ざかっている。今の子供たちは自分のほしいものを手に入れることが幸せだと教えられて育つが、それは本当の幸せではない。人間は自分が誰かから必要とされていると感じて初めて幸せを感じることができる存在であり、自分のためよりも自分の大切な人のために行動するときこそ、思ってもみなかった力ができる」

という幸せの捉え方は、まさにその通りだと思った。幸せとは何かを改めて考えさせられる一冊だった。

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大和書房から発売された喜多川 泰の母さんのコロッケ ~懸命に命をつなぐ、ひとつの家族の物語~(JAN:9784479793298)の感想と評価
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