そうか、君はカラマーゾフを読んだのか。: 仕事も人生も成功するドストエフスキー66のメッセージ の感想

この本は「君はカラマーゾフを読んだのか」とタイトルにもなっているようにカラマーゾフを読んでない読者が読んでもカラマーゾフはわかりません。(笑)この本は、小説で含蓄のあるセリフを著者が66選び、その言葉のドストエフスキーのメッセージを著者が解説した本です。カラマーゾフを読んでなおかつこの著者が好きな読者にはいいのかもしれませんが、この本でカラマーゾフをわかろうと思う読者は他本を探したほうがいいかもしれませんね。まあ、名言集が好きな読者向けという感じです。

三文文士がまたドストエフスキー本を出しました。しかも、何という傲慢なタイトルなのでしょうか。

いい加減、この手の本を出すのはやめてもらいたいです。亀山氏のやることに憤りを感じている人間は少なくありません。何故なら、ドストエフスキー文学の愛読者を敵に回すようなことを、ありとあらゆる手段を用いて、しかも平気でやっているからです。

この著者はドストエフスキー文学の素晴らしさを世に伝えるためでなく、自身の売名行為、知名度、権威が欲しいだけです。
ドストエフスキー文学を読み取れない人間が翻訳までし、いらぬ解題まで付けて、自身の「世界の最先端」たる稚拙な解釈を読者に押しつけているのです。しかも、たちが悪いことに、ドストエフスキー文学を知らない人や読めない人を対象にそれを押しつけているのです。

この手の本を読むか買う人は、間違いなくドストエフスキー文学を読めない人です。こんな本に頼らないで、本編を辛抱強く、何度でも読んでみてください。
こんな、カップラーメンのような即席本を読んだからと言って、世界を唸らせた、宗教文学としても最高峰と言われた「カラマーゾフの兄弟」の素晴らしさや深さが解るはずがないのです。
こんなくらだらない本は、自身のブログでも作って公開すればいいのに、そういうことは絶対しようとしない。自分の解釈を、あくまで書籍という形で金を取って売ろうとする。
亀山氏は、ドストエフスキーが何年も膏血を注いで書き上げた世界最高峰の文学に、自身のいらぬ余計な解釈を付けて台無しにしている。ドストエフスキー文学にケチをつけていると言っても過言ではない。

出版社も出版不況という現実はあっても、この手の本を出すのはやめてもらいたい。
文学は自身で読み取り、肌で感じてこそ、素晴らしさが解るものなのに、売ることばかりを考えて、文学という人格の形成に役立つジャンルをまったくダメにしている。

若年層や、まだ「カラマーゾフの兄弟」を読んだことがない人が、この手の三文文士の書くことを鵜呑みにしてしまうことを想像すると、私は憤りを隠せない。マスコミもさることながら、出版業界も堕落していると思うのは私だけだろうか。