少女には向かない職業 (創元推理文庫) の感想

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参照データ

タイトル少女には向かない職業 (創元推理文庫)
発売日販売日未定
製作者桜庭 一樹
販売元東京創元社
JANコード9784488472016
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

 作者の桜庭 一樹は「推定少女」以来、多感な思春期の少女が自分を取りまく世界に対して闘いを挑む物語を発表し続けていて、本作「少女には向かない職業」もそうした一連の作品の一つです。好きな作家の小説を追いかけていると、時として堰を切ったように「書きたいもの」が溢れ出してくる時があるのだなと感じるときがありますが、今の桜庭 一樹もそんな感じなのかもしれません。

 本作はいわゆるライトノベルのレーベルではなく、東京創元社のミステリ・フロンティアの一冊として発表されました。ミステリ的な分類で見れば「巻き込まれ型犯罪小説」というか、ごく普通の登場人物が罪に手を染めてしまう物語です。国内外の同系列のミステリに比べると本作は淡泊でコンパクトな感じです。もっと殺人を犯してしまった罪悪感、焦燥感、恐怖感をみっちり書き込んで、「殺人者」に変容してしまう過程を見せていくやり方もあったでしょうし、実際そうした点について「薄い」「浅い」という批判もあるようです。ですが僕は本作のある種の淡泊さは、あくまで「普通の少女」の物語であるために意識して選ばれたものだと思いますし、あえて「向こう側」に落ちこんでしまうサイコ系な展開を避けている点こそが作品の魅力であり、作者の資質であると感じます。本作では「少女」を描くために「殺人」という触媒があり、その結果ミステリとしての枠組みがあるのでしょう。

 作者は上述した「推定少女」をはじめとして「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」「ブルースカイ」「荒野の恋」など小説としての趣向は変化しながらも、一貫して「少女」を描き続けていますし、私も作者が見せてくれるものに期待しています。

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