三国志演義 (二) (講談社学術文庫) の感想

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タイトル三国志演義 (二) (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
販売元講談社
JANコード9784062922586
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 古典 » 中国の古典

購入者の感想

三国志演義の第2巻。本書は全120回のうち31-60回を収録。各回(章)には2ページの挿絵がついているが、これは、”四大奇書第一種”19巻に付されている図像から。章末には、簡潔な注がついているが、なかでも重宝なのは、以前登場した人物が久々に登場した際に、以前の(第1巻を含む)登場箇所(第何回か)が書かれていること。本書は、登場人物が多いだけに、過去の登場場面が数行の人物などは、この注なくしては、初登場なのか再登場なのか、わからないことが多いと思われる。また、本文中にも、過去の事件に関して、それが過去のどの回に書かれていたかが、示されていることがあり、これも重宝。難を言えば、巻頭に11ページの登場人物紹介があるが、これは五十音順になっておらず、魏、呉、蜀などのグループごとになっており、しかも、その中の配列も五十音になっていないので、人物を探しにくい。また、各人物が、どういった結末を迎えるかが書かれてしまっていることもあるので、物語の興味を削がれる読者もいると思われる。巻末には、本書の出来事が年表にされたものと、第2巻の読みどころとして、本書のあらすじが7ページにわたり書かれているが、あらすじの域をでていない。あらすじは、本編を読めば不要なので、むしろ解説が欲しいところ。本書は、諸葛孔明が登場し、主役が出揃い、以下のように金言も多い。特に、赤壁の戦いの前に、曹操が詠んだ短歌行は、訳者がつけた括弧書きの補足説明が素晴らしく名訳になっている。

劉備:君たちは王者を助ける才能の持ち主なのに、不幸にも私につき従うことになった。私の運命は窮まり、君たちまで、巻き添えにしてしまった。
関羽:”勝敗は兵家の常”、みずから志を失ってはなりません。p35

崔(さい)州平:天に順(したが)う者は逸(やす)らかなるも、天に逆らう者は労(ほね)おる。
劉備:私は漢王朝の末裔であり、傾いた漢王朝を助けねばなりません。どうして天運や天命に委ねることができましょうか。p157

劉備:賢に見(まみ)えんと欲して其の道を以てせざるは、猶お其れ入らんと欲して之が門を閉ざすがごとし(孟子万章下)p158

本巻では、ようやく神算鬼謀の軍師諸葛亮(孔明)が登場し、物語は佳境に入ります。諸葛亮が自らを古の管仲、楽毅に比しながら隆中の草蘆で自己形成に努めていたころ、曹操は華北の地を治め、孫権は江南の地を固めていましたが、劉備は荊州の劉表のもとで髀肉の嘆をかこつ居候にすぎませんでした。劉備の配下には、関羽、張飛、趙雲など一騎当千のつわものはいましたが、帷幄の謀臣がいませんでした。劉備は三顧の礼をつくして孔明を幕下に加え、孔明は天下三分の計を献策します。

三国志最大の山場は赤壁の戦いです。曹操はこの一戦で孫権、劉備の連合軍に敗れ、天下統一の野望を砕かれ、孔明の天下三分の計の実現が見えてきました。本巻では孔明の智略が冴えわたります。降伏に傾きかけた孫権の朝廷を見事な弁舌で主戦論に導き、さまざまな計略をめぐらせて勝利に貢献しただけでなく、呉の提督周瑜の先手をうって南郡、襄陽、荊州をちゃっかり横取りします。関羽には華容道で曹操に恩返しする機会を与えるなど心憎いばかりの采配です。

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