素粒子論はなぜわかりにくいのか (知の扉) の感想

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参照データ

タイトル素粒子論はなぜわかりにくいのか (知の扉)
発売日販売日未定
製作者吉田 伸夫
販売元技術評論社
JANコード9784774161310
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 物理学 » 量子物理学

購入者の感想

「量子論を楽しむ本」で量子論のわけのわからなさを実感し、「量子論はなぜわかりにくいのか」に手が伸びた。そうしたら場の量子論へといざなわれて「光の場、電子の海」を読んだら必然的に素粒子論へといざなわれ、本書に自動的に誘導された感じ。
「量子論はなぜわかりにくいのか」を読んでいたので、本書も同じようなイメージ(分かった気になるけど本質的には分かってない)でのぞんだら、想像どおり素粒子論が分かった気になれた。きっと分かってないと思うけど。
数式などを使わず、完全な素人にここまで分かった気にさせる著者の力には感服させられる。
自分のように、量子論~場の量子論を一通り通過してきた人には非常に読みやすい内容と思う。
が、量子論について全く知識のない人がいきなりこの素粒子論から読んでも、おそらく理解不能だろうと思う。

なぜわかりにくいのか → 現代物理の基礎となっている「場」を説明していないから。
・していないというより、今までできる人が居なかったというのが正しいと思う。
・著者は、これに成功した初めての人だと思う。(経路積分による量子化手法で)
・原子論的な世界観から、場という世界観に大きく転換があった・・・というのを初めて認識した。これが、私にとってはこの本での一番の驚きであった。頭の中が、「原子と場の二元論で足踏み」と、正にその状態であった。この歳になって、自然観が覆されるとは、すごい快感だった。

場とその量子論のイメージ(バネ)を基に、次のことをわかりやすく説明している。
1)「素粒子」は「粒子」ではない。(原子論的な意味での)
  場が実体であり、粒子的な特徴は、相互作用がほとんど無い場合、およびフェルミオンの量子論的特性から現れる。
2)「力は粒子を交換することによって生じる」というよく見る説明は、摂動計算を言葉にしただけであり、中間子の場合は、良い近似にはなっていない。
  結合状態を、この粒子的イメージでとらえることはできない。
3)質量エネルギー
4)素粒子が別の素粒子に変化するしくみ・内部空間での振動方向
5)ゲージ原理・標準模型・対称性の破れ・ヒッグス場
6)摂動・ファインマン図・仮想粒子・光電効果・繰りこみ・有効理論
7)標準模型の拡張・量子重力理論の候補(ループ量子重力理論、超弦理論)
メインテーマ以外では、繰りこみとその重力理論での破綻、ブレイン宇宙論の説明が秀逸。

次のような人には超お勧めです。
・量子力学や素粒子の本を読んでみて、モヤモヤ感がぬぐえない人。
・場の量子論を俯瞰して俯瞰して把握したい人
・現代物理の自然観・世界観に興味がある人
・ヒッグス粒子、超弦理論などに興味がある人
私にとっては、ものすごく読みやすく、興奮のうちに読み終えた優れものでした。

珍妙な比喩を使わず説明が一貫して秩序だっているため納得感が得られる。

「場」を基本的な説明原理として、場の振動、場のねじれの伝播の量子的な現れとして素粒子を位置づけ、その場での場の振動の観点から質量とエネルギー、またヒッグス場の役割を位置づけ、一般的な解説書にある「素粒子の交換による力の伝播」を摂動法の観点から明確に解説している。一貫しているために極めて判りやすい。

納得感を持った後で、今まで読んだ様々な解説書は、その時代の物理観や素人向けの一貫性の無い比喩のために困難しているのであることもよく理解出来る。

ただ、基本的な量子力学の前提を把握していることが納得感の前提にはなると思われる。0

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