GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス の感想

サブタイトルに「野生の体を取り戻せ！」とある通り、本書は文明化が招いた現代人の苦しみを再野生化することで取り除こうという趣旨のものである。脳科学や栄養学の知見をもとに現代人がよりよく生きるための方法が書かれている。特に３章食事、４章運動についての部分がメインになるだろう。食事面においては、糖類と炭水化物の過剰な摂取こそが文明病（糖尿病など）の原因であると断じている。たとえば、アメリカ人の糖の年間摂取量は１８００年の１０kgから今日の６９kgへと激増している。これが文明病の大きな要因になっていることは間違い無いだろう。もうひとつ賢く生きるために重要なのが運動である。著者のひとりレイティは、『脳を鍛えるには運動しかない！』で運動と脳の関係について述べているが、本書においてもその路線は継続されている。運動することで人類は賢くなる。そして、できることならばフィットネスクラブでランニングマシンをするだけではなく、トレイルで変化に富んだコースを走ることでその効能は激増するということが本書におけるもうひとつの重要なポイントである。本書は、多くの人にとって食事と運動法についての本であると認識されるだろう。しかし実際は「人類」が幸せに生きるための本質に迫った（あるいは文明化が招いた不幸からの逃走のため）の本であるといえる。

　野生環境下で進化してきた人類の環境を知れば、多くの現代病を克服できる　「野生に行け」　！　。

　1例　最近　注目されている　mindfulnessの説明

　　瞑想はある意味で狩猟採集民の心の状態によく似ている。。。。

　『瞑想とは、「今、ここ」に注意や意識を向けることであり、
　　それはまさに野生の人々が、自然環境で生き延びるために必要なことだ』（P173)　

　　今ここに集中して、前提にとれわれないこころを持つ時
　　わらわらは、まだ見ぬ獲物を手に入れることができる　ということか？　なるほど！

現役の医師ですが、毎日外来で患者さんの診察をしながら、日本で興隆してきた低炭水化物ダイエットに興味を持ちその延長で購入して読みました。
じっくり読んでみると食事だけではなく、睡眠、運動、精神、全てが繋がっているという理論を根拠を示しながら緻密に組み立てている素晴らしい本です。
「脳を鍛えるには運動しかない！」
を読んでから、この著者に関心を持っていましたが、生活と健康を真面目に考える全ての方に読んで、実践して頂きたい
稀有の書です。安すぎます！