クラウン独和辞典 第5版 CD付き の感想

2012年時点でベストの学習独和辞典クラウン独和辞典の2013年12月の改訂版である。たまたま三省堂のホームページで改訂版の発行予定を見つけ、予約注文した。
辞書本体は第４版と基本的には同じである。レイアウト、色使い、基本語の解説、例文など、従来と殆ど変らない。新語、複合語が4000語ほど追加されたが、１ヶ月弱使ってみた印象では追加された語彙、変更された記述を見つけることは殆ど無い。
第４版との違いは新正書法への対応と辞書本体に掲載された付録である。第４版はDuden,Die deuche Rechtschreibung.24,2006に従っていたが第５版はDuden,Die deuche Rechtschreibung.25,2010に従っている。また、第４版にあった正書法インデックス（新旧正書法で変更された単語の対照表）がなくなり、旧正書法による綴りが辞書本体に組み込まれて新正書法での記述を参照するようになった。個人的には正書法インデックスは新旧正書法の違いの例を概観するには有用であったので、残して欲しかった。今回の改訂で唯一残念な点である。
第５版では「つづり字の読み方」が巻頭に、付録に「料理150選」「日常語（その地域的変異）」が追加された。日常語は北部、南部、オーストリア、スイスなどで使われる単語の違いがコンパクトにまとめられているので有用である。また、第4版では巻頭にあった詳細な「発音解説」は巻末付録に移動した。有用な「和独インデックス」「文法小辞典」は従来通り掲載されている。
改訂に伴って第4版の1858ページから1916ページに増えてしまったが、2冊を寝かせて比べてみると辞書の厚みは第5版の方がわずかに薄いようである。クラウン独和の魅力の一つか扱いやすいサイズが保たれたのは歓迎したい。