完訳 緋文字 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル完訳 緋文字 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者N. ホーソーン
販売元岩波書店
JANコード9784003230411
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

 陰鬱で閉塞感漂う、ニューイングランドの清教徒コミュニティ。そこで起きた姦通事件と、緋文字と晒し台による辱め・・・。この重苦しい作品を理解するには、ホーソンの先祖についての予備知識を持っているといいかもしれません。
 父方のホーソン家は、名家でありながら悪名も高い家柄です。先祖には、セイラムの魔女狩り裁判で判事を勤め、罪無き人々を牢獄や死に追いやった人もいます。また、クエーカー教徒を迫害し、土地を追った先祖もいます。ホーソンに魔女狩りに関する小説が多いのは、このためです。従来、この父方の先祖の存在が、ホーソンの作品世界に大きな影響を与えたと言われていました。
 しかし、最近の研究で、母方のマニング家の存在も無視できないことがわかってきました。マニング家の中で、最初にアメリカに入植した当主が、実の姉妹二人と近親相姦を犯し、妻に告発されたのです。当主は裁判が始まる前に行方をくらまし、残された姉妹は、胸にIの緋文字(近親相姦を表すincest)をつけ、晒し台に立っています。
 父方、母方の先祖が犯した罪過と向き合い、人間の心理を深く探究したホーソンだからこそ、書き上げることができたのが本作です。深く重い話なので、読んでいて大変ですが、掟に縛られた世界の中で繰り広げられる愛憎は、真に迫ります。

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岩波書店から発売されたN. ホーソーンの完訳 緋文字 (岩波文庫)(JAN:9784003230411)の感想と評価
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