境界を生きる 性と生のはざまで の感想

我々人間の世界は、完全に男と女に分けられるものではない。その『性』の間で、悩み苦しむ人たちが存在する。性同一性障とは、生物学的性別と性の自己意識とが一致しないために、自らの生物学的性別に持続的な違和感を持ち、自己意識に一致する性を求め、時には生物学的性別を己れの性の自己意識に近づけるために性の適合を望むことさえある。
一方、「性分化疾患」は染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態を指す医学用語で、「性同一性障害」とは異なる。
言うまでもありませんが、「性同一性障害」、「性分化疾患」は『同性愛』とは異なるものです。
本書は、「性分化疾患」、「性同一性障害」の問題を、当事者や医療関係者などに徹底取材したシリーズ企画を書籍としたものである。現在、「性分化疾患」と「性同一性障害」の違いさえ、知らない人が大部分であり、これらの問題に関する理解も進まぬままに、偏見や差別が、それが逆に、この問題への理解を遠ざける結果となっている。我々は、「境界を生きる」方たちを知って、理解する必要があるのではないでしょうか。それらの方々の生きる世界をもっと広くすることが必要でしょう。先ず、本書で知ることが第一歩です。