芸術の哲学 (ちくま学芸文庫) の感想
参照データ
タイトル | 芸術の哲学 (ちくま学芸文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 渡辺 二郎 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480084262 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学 |
購入者の感想
本書は、美の成立根拠を人間の主観的な心の在り方に還元する「近代主観主義的美学」に対して、美ではなく存在の真実が開示される場が芸術作品と考える「存在論的美学」を提示している。前者の立場に立つシラーやフロイトに対して、後者の立場を取るニーチェやハイデガーを平易に解説することで芸術哲学の教科書のような作りになっている。そのため「近代主観主義的美学」をなぜ退けるのか、という命題に関しては批判が甘いと思うが、二つの芸術観を対立させて論じる文章は、非常に明快であり、ハイデガー、ニーチェ、アリストテレスもしくはショーペンハウアーの芸術観が見事にまとまっている(原書にあたったことのある人にはそれがよく分かるだろう)。ちなみに芸術や哲学が「訳の分からぬもの」と考える人には特にお勧めする。
この本は、『芸術作品に接して興奮を覚える人間とは、一体何なのであり、人間のいかなる在り方に根拠づけられているいるのだろうか』という問いを中心課題に置き、アリストテレス、ニーチエ、ハイデッガー、ガダマー、フロイト、ユング、ショーペンハウアー、カント等の思想に即して、著者の哲学的考察をしたものである。
その考察を一言で言えば、芸術とは、科学知では及ばない、人間が生きているということに関わる「真実」を、「発見的装置」としての芸術作品を媒介として自己認識することである、というものである。
著者の言わんとするところを理解するためには、ハイデッガーなど引用されている哲学者達の言い回しについての理解が少し必要ですが、小生のような一般的読者にとっても、冒頭の問いを持ってさえいれば面白く読めると思います。0
その考察を一言で言えば、芸術とは、科学知では及ばない、人間が生きているということに関わる「真実」を、「発見的装置」としての芸術作品を媒介として自己認識することである、というものである。
著者の言わんとするところを理解するためには、ハイデッガーなど引用されている哲学者達の言い回しについての理解が少し必要ですが、小生のような一般的読者にとっても、冒頭の問いを持ってさえいれば面白く読めると思います。0