草原の風(上) (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトル草原の風(上) (中公文庫)
発売日2013-09-21
製作者宮城谷 昌光
販売元中央公論新社
JANコード9784122058392
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

購入者の感想

後漢を築いた光武帝・劉秀は中国史上の名君中の名君で、有能な部下でも精神が清潔でないと重用しなかったと聞き興味を持っていました。古代中国文学の絶対的第一人者・宮城谷さん作品の文庫版がでたので、劉秀の事跡を知る好機と思いました。「項羽と劉邦」と「三国志」の中間の年代。前漢から王朝を簒奪した王莽の衰亡、戦乱から後漢時代到来までが綿密に描かれた、貴重な歴史文学作品であると思います。

劉秀の飾り気のない、そして無類の働き者だった若者時代から、歴史に名を刻んだ股肱の名臣・登禹(とうう)と朱祐(しゅゆう)を、まずは友として得る長安留学時代。朱祐が劉秀に当初そっけなかったという有名な逸話がでてきます。そして挙兵。戦功とは裏腹の冷遇。厳寒の中の流浪等を経て、中国を再統一し平和をもたらすまでが躍動的に描かれています。

歴史的には功臣「光武帝二十八将」序列第一位の登禹が、実は戦争の指揮はうまくなかったことが意外でした。しかし登禹の純粋で正義感の強い人間性を劉秀は愛したのでしょう。「能力主義に陥らず道徳観を重視した」劉秀の思想の反映が感じられ、彼のもとにこの時代の俊英たちが集まった所以かとおもいました。自身、聡明なだけでなく徳で治めるということが体現できた光武帝・劉秀に、現代の大小のリーダーたちや、リーダーにならんというひとたちは学べるものが大きいようにおもいます。個人的には宮城谷文学のなかでも読後の爽快感が高い作品でした。星5つです。

時代が近づくにつれ、より自然なかたちでの歴史の動きを感じます。ただ、劉秀はすごいすごいともてはやされる割には何がそんなにすごいのかがあまり伝わってこず、少々残念。

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