面白くて眠れなくなる生物学 の感想

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参照データ

タイトル面白くて眠れなくなる生物学
発売日販売日未定
製作者長谷川 英祐
販売元PHP研究所
JANコード9784569817453
カテゴリ » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物

購入者の感想

「面白くて眠れなくなる」などと、はなから真に受けているわけではないが、そんなタイトル名の本を見付けてしまったら、つい読んでみたくなってしまうのが人情というものだろう。それにしても、読者心理を見透かした心憎いネーミングを考え付くものだと思う。 

さて、筆者は、人間は物事を丸暗記するのが苦手だが、高校の生物の教科書は暗記物の代表格であり、ただひたすら暗記しなければならないものになっていると切り捨て、本書では、何事にも理由があり、そこにどういう意味があるのかが分かれば、雑多に見える生物学の現象も理解しやすくなるという観点に立って工夫したとしている。たしかに、丸暗記は退屈だし、覚えてもすぐに忘れるのに対し、理屈で理解できることは面白く、楽しいし、理屈で覚えたことはなかなか忘れないものだとは思うのだが、問題は、筆者の理屈を読者がどこまで理解できるかという点だろう。 

そういった点から見ると、「Part1 生物は合理的にふるまう」は、前半が専ら、生物学を苦手とする者には特に難解なDNAの話になっており、面白さよりも理解しにくさの方が勝っている部分もあったとは思う。それでも、その難解さにげんなりさせられた「ゲノムが語る生命像」(本庶 佑著)と比べればずっと分かりやすく整理されているし、Part1の後半と、残る「Part2 誰かに話したくなる生物のはなし」、「Part3 面白くて眠れなくなる生物学」は、私のような生物学を苦手とする者でも、物理や化学や進化の簡単な基本原理をもとに理屈で生物学の謎を解きほぐしていけば、生物学が分かりやすく、面白いと思えてくるという内容にほぼなっていると思う。 

本書は、「面白くて眠れなくなる」シリーズのうちの一冊なのだそうだ。正直いって、本書のような素人向けの内容とこの程度のページ数なら、新書又は文庫本並みの価格が妥当ではないかという金額的な割高感は感じるものの、他の分野のものも読んでみたいと思わせてくれるだけの面白さを味わわせてくれた一冊ではあったと評価したい。 

同じ生物の話でも、
福岡 伸一 は、ともすると読者を忘れているのではないかというほどに生物に入れ込んでいる。こそにパッションを感じるから、読者は本当に眠れなくなるのだ。

この本は、わかりやすく書かれているとは思うけれど、力点は「わかりやすく説明すること」におかれている。そこが透けて見えるので、ウンチク本や参考書域から出ていない感が否めない。

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