ボーン・コレクター(上) の感想

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参照データ

タイトルボーン・コレクター(上)
発売日2012-12-21
製作者ジェフリー・ディーヴァー
販売元文藝春秋
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

 云わずと知れた四肢麻痺・天才リンカーン・ライムシリーズの第一作です。
ミステリー好きであれば、必読のベストセラーですが今更ながら未読でした。
先送りしていたのは訳があります。E・ワシントン主演の映画版を一度見たことが
あるのですが、首から上しか動かないE・ワシントンが映画としてはなんとも地味
だなぁ、といった印象で、結末も覚えてさえいなかったからです。

 巧妙で、猟奇的な犯行に対して(1999年時点のですが)最先端の科学鑑識技術と
ライムの図書館並みの博学、洞察の緊迫した対決を縦糸に、女性巡査アメリア・
サックスとの関わりを横糸にしてストーリー展開をしています。何かと縦糸が
注目される本作ですが、何時も自殺する事を考えている身障者としてのライムの
苦悩と、何もできない、でもライムに生きていて欲しいと願うサックスの思いの
葛藤が読ませます。恋愛関係になる事はありえない仕事のパートナーでありながらも
本音で話し合い、苦楽をともにしてできる限り一緒に歩いていきたいと思う異性
との関係は現実の世界でもありうる事なのではないでしょうか。その究極の条件
付けとして肉体的な関係が不能なライムと、男性との恋愛関係が不能なサックス
といった取り合わせになったのは偶然ではないでしょう。現代では恋愛不能な
シチュエーションを作るのには、ここまでしなければ二人に立ちふさがる壁を
設定できないのかと思いました。

 印象的なのは、自殺を思いとどまらせようとサックスがライムに議論を挑む
場面です。ライムの自殺感は衝動的ではなく、苦悩の中で考えに考えつくされた
哲学の域に達しているため、誰も彼を思いとどまらせる事はできないと思いました。
言葉で自殺者を救う事の難しさを痛感させられます。本作はそんな生死感や
死にたくなるほどの孤独、苦悩に友人として何ができるのかということを
考えさせられました。

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