ナンシー関の名言・予言 の感想

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タイトルナンシー関の名言・予言
発売日販売日未定
製作者ナンシー 関
販売元世界文化社
JANコード9784418135011
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » な行の著者

購入者の感想

没後10年での一連の新作が案外と売れたということなのだろうか、もはや「未収録作」とか「ナンシーに関する考察」なんて付加価値もなしの、単なる編集本が登場した。これが賞でも取った作家や夭逝した人気バンドならいざ知らず、ナンシー関である。以って瞑すべし。

彼女の七回忌で友人が「ナンシー、〇〇も××もテレビ出まくったままだよ。あの世でどう思ってるんだよ」と云った言葉を彼女にぶつけたという話を聞いた記憶がある。〇〇や××は、彼女が唾棄するほどにテレビを堕落させた戦犯として露骨に批判をしていたテレビタレントだ。このエピソード自体に色々な感じ方があるが、一人の彗眼を嘲笑うようにテレビの中は荒廃していったともいえるし、一人の人間が見通せる未来なんてたかが知れているとも言える。

リアルタイムで彼女の作品に付きあった者からすれば、ずいぶんと当たったものだなと妙な感慨にもふけるが、「生涯一視聴者」を貫いた彼女が聞いたなら「ケッ」の一言で切り捨てたような企画だなとは正直に思う。しかし、顔面至上主義と称し、観察対象であるテレビの中の人々の内情や思惑など一切忖度せず観えるがままに語るべしとした彼女のことだ、死後に残した作品群を「予言」「名言」とラべリングすること、また、そして、その時代も被写体も知らぬ世代が「なんか面白れぇ」と思うさまをニンマリとするのかもしれない。

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