放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ-世界的権威の特別講義 の感想

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参照データ

タイトル放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ-世界的権威の特別講義
発売日販売日未定
製作者ロバート ピーター ゲイル
販売元早川書房
JANコード9784152093936
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 原子力・放射線

購入者の感想

筆者はチェルノブイリ事故ほか様々な放射線事故の治療にも関わったベテラン医師ということで
放射線事故の海外の事例が色々と載っていたのは興味深かったです。
ブラジル、ゴイアニアでの放射線治療装置盗難⇒拡散事故なんて始めて知りました。

序盤は科学的な見地から放射線はどんなものか?単位はどういう意味なのか?ということから始まり、
リスクの評価や放射線の歴史、医療&疫学との関わり、爆弾や廃棄物について解説しています。
最後には簡易なQ&Aもついており、読みきれない人への配慮も有。

我々の生活や歴史的な出来事でどれくらい放射線を発したか、被爆したか、リスクはあるかということを数字で示していて
例としてCT&PET検査で20mmsv、宇宙ステーションに半年いると120mmsv、広島の原爆は200~300mmsv等々
数値で示されると結構意外な数字だったりします。(各被爆の影響についても解説あり。)

筆者は一部で認知バイアスにも言及していて、端的に言えば原子力に限らず一つのトピックだけピックアップすれば
危険に見えてしまうので(でも人間の脳はそう働く)、時間がかかっても他の選択肢と比較して考えましょうということを言っています。
石炭発電が意外と放射線出てるとか、化石燃料使って温暖化していくとそもそも地表の放射線自体が増えるとか
ああ言われてみればという点も多く、その当たりは原子力発電だけの人ではないんだなぁと。
元々少し固いトピックのため読み進めるのに時間がかかったものの、
「原発」や「フクシマ」だらけでなんとなく食傷気味だった自分には丁度良い本でした。

「放射線によって起こりうる健康被害について、あちこちの情報源がえてして相反する
情報を掲げていれば、誰でも混乱し、放射線による害のリスクを下げるために何が
できるのかがわからなくなる。そもそも、自分が放射線でがんになるリスクはほかの
日常的ながんリスクと比べてどうなのか? そうした至極まっとうな疑問に対しては、
率直で、正確な情報にもとづく、信頼できる答えが提示されてしかるべきであり、
私たち著者はそれを目指して本書を書いた」。

「人びとは原子力発電を化石燃料による発電より怖いものと見なしがちだが、それは
多くの人が自動車の追突事故で死ぬより飛行機の墜落事故で死ぬほうを怖がるのと
ほぼ同じようなものである」。
 安全保障等が絡む問題なだけに、「私たち著者は推進派でも反対派でもない」との
一応の前置きは持った上で、原発をめぐる筆者の見解はほぼこの一言に集約される。
では、なぜそう言えるのか? ということを、原爆をはじめとした過去の事例からの
疫学的なデータを参照しつつ、時に高校化学、物理レベルの基礎にまで立ち返って
論じた一冊。

 各種放射線治療、検査について「患者は担当医に実施の理由、具体的な利益、
浴びることになる線量を確認すべきである。……担当の医師がそうした質問に
答えられないなら、あなたはおそらくよからぬところにいる」。
 そもそも著者のゲイル氏は被ばく者医療の世界的権威、本書はその射程として、
原発や核兵器に限らず、医療における放射線利用も重要なパートとして含む。
そうした自らの主体的選択のための材料としてまずは有益。

「運がきわめて悪くもありかつ良くもあった160人もの被爆者が、広島と長崎の両方で
原爆投下に居合わせたにもかかわらず命を奪われずに済んだと考えられている」。
 殺人加害者国の民がほざく、かくもふざけた物言いも確かにある。
 中立を装いつつも、石炭発電の弊害を論じるに、ローテクなアメリカの発電施設の
データを持ち出すのもどうかとは思う。

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早川書房から発売されたロバート ピーター ゲイルの放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ-世界的権威の特別講義(JAN:9784152093936)の感想と評価
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