SCATTER あなたがここにいてほしい 5巻 (ビームコミックス) の感想

4巻から引き続き、謎だらけだったストーリーが
論理面でカバーされていく展開。
この巻でミステリー的な要素はかなり消化された様子。

普通ここまで言葉で説明されちゃうと
ダルいな〜と思う筈なのに、依然として面白いです。
いかに物語が新鮮で重厚かと再確認しました。

再確認でいえば、表紙の秀逸さもやっぱり凄い。
たんなる覆面を被った青年の絵。
なのにどこか異質で、エロティックで、エネルギーを感じる。
子ども時代に書店でこの表紙を見たら、内容を知らなくても
「きっと凄い話に違いない」と思わせる凄味があります。

いくらでもぶっ飛んだ展開に出来るの題材なのに(実際そうだけど)
漫画の特権「なんでもアリ」に決して胡座をかかず
赤裸々なほど現実を直視した目線は、本当に痺れます。

私の中では「オススメしたいけどしにくいマンガNo1」の地位を不動のものにしています。

主人公ががんばってレイプ（本人たちにとっては救済なのですが）しようと悪戦苦闘するマンガなんてほかにあったでしょうか？
オススメするに当たって概要を説明しようとすると、「レイプがーー」と口走ってしまいそうになり、「とにかく１巻だけ読んでみて！」と言っています。

さて、５巻では敵対するJrたちの素性が少しずつ明らかになってきています。
現実世界と死後の世界の対立、というと類例は多々ありますが、
切り口の鋭さ、変態差でSCATTERにかなうものはないと思います。
またタイトルにもなっている「SCATTER」の意味もようやく明らかになります。

とはいえ、まだ疑問だらけのストーリーなのですが、そんな変態的なプロットの中でも、
きっちり主人公の成長ストーリーを描き出そうとしている点に好感が持てます。
とにかく読んでみて！