二十歳の原点 [新装版] の感想

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参照データ

タイトル二十歳の原点 [新装版]
発売日販売日未定
製作者高野悦子
販売元カンゼン
JANコード9784862550323
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » た行の著者

購入者の感想

 この本を文庫本で最初に読んだのは,今から30年ぐらい前だったでしょうか。一気に読んでしまい,とても哀しく,切ない気持ちになったのを覚えています。今回の新装版は,当時の時代背景を理解しやすくするために,日記にでてくる言葉に脚注を付し,著者が遺した大学ノートの体裁にあわせ,横書きの文字デザインにし,ずいぶんと読みやすく体裁になっています。巻頭にある著者の笑顔のモノクローム写真も印象的です。
 当時ベストセラーとも言われましたが,この本を反響を,著者自らは知ることはありません。著者は20歳の大学生で,京都の下宿近くで深夜、貨物列車に飛び込み亡くなられてしまいました。彼女の死後,下宿に遺された日記の一部がこの本になりました。生きておられれば,もう60歳の還暦を過ぎています。今でも,この『二十歳の原点』は,瑞々しい詩的なリズムの文体で、ぐいぐいと心の襞を揺さぶってきます。「『独りであること』,『未熟であること』,これが私の二十歳の原点である」は,時代背景こそ違え,今でも多くの同世代の「原点」に訴える力があるに違いありません。
 確かに,彼女は純粋すぎたかもしれません。稚拙な部分があったかもしれません。それでも生きていてほしかった。もっと自分以外の言葉にも心を開いていたら,そして自分を締め付けない言葉と,もっとたくさん出会っていたら,『独りであること』,『未熟であること』から逃れられる出口が見いだせていたかもしれません。今でも、その若すぎる自死が惜しまれてなりません。
 今回の新装版には,かつての文庫本にはなかった,著者の父親(故人)の『失格者の弁』が掲載されています。今やその当時の父親と同年齢になり,ちょうど著者と同じぐらいの娘を持つ者としては,その痛切な言葉の数々に、身のひき裂かれる思いがつのります。
 20歳の人たちばかりでなく,大学生の娘を持つ父親にも,是非手にとってもらいたい本です。
 

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