The Naked Sun (The Root Series) の感想

　アシモフのロボットものの長編第2作。これ単独でも楽しめるが、できれば、The　Caves　of　Steel　（邦題は『鋼鉄都市』）を先に読むことをお勧めしたい。内容については翻訳版の『はだかの太陽』（ハヤカワSF文庫）で書いたとおりだが、アシモフファンなら、いちおう目次の部分だけでも覗いてみることをお勧めしたい。原書では、各章の表題が、1 A QUESTION IS ASKED、3 A VICTIM IS NAMED、5 A CRIME IS DISCOVERED、6 A THEORY IS REFUTED、14 A MOTIVE IS REVEALED、16 A SOLUTION IS OFFERED、17 A MEETING IS HELD、18 A QUESTION IS ANSWERED のような、しゃれた構成になっている。なかには、語呂あわせにすぎないタイトルの章もあるのだが、それでも、ここには、本書が本格的なSFミステリであるとアピールしたいアシモフの意気込みが強くにじみ出ていると感じるのは私だけだろうか。常盤新平の旧訳（ハヤカワSFシリーズ）では、「第１４章では動機が明らかにされる」のように、オリジナルのスタイルに忠実に訳されていたと思う（手元に旧訳書がないのでここは記憶で書いている）のだが、現在の冬川訳では異なった処理がなされている。
　なお、本書には、『われはロボット』から『鋼鉄都市』、『はだかの太陽』を経て、『夜明けのロボット』が書かれるまでをたどった、１０ページにわたるアシモフの序文が新たに加えられている。