絶体絶命でも世界一愛される会社に変える! ―2代目女性社長の号泣戦記 の感想

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仕事の関係で産業廃棄物業者の方とはよくお付き合いをさせていただいます。
そういう観点で読ませていただいて感じたのは、お父さんが偉い、ということでした。
著者は、女性の感性を備えたリーダーでとても良くおやりになりましたが、意外とこういう方はおられます。
どこにでも、というわけではありませんが、有名になられた女性経営者に共通している要素があります。
お父さんは一代で産廃業を起こし、機械なども自分で設計されるような方で、まさに創業社長です。
どうもお父さんが娘さんの才能を見つけ、育てた物語の様な気がするのです。
そういう意味では、お父さんのお話をお聞きしたいという思いが強く残りました。
それと著者は、文章の方ではなく恐らく講演等実施に表情や声を通して魅力が伝わる方のようにお察しいたします。

本書を読んで思う事は、タイトルや帯にも書かれている様に
トップの強い想いがあればどのな難局も乗り越える事が
出来ると言う事につきるだろう。

逆に言えばトップの想いがなければどの様な良い環境が
与えられたとしても誰もついてこないし信頼もされない。

書かれている以上に大変な事が多かったと想像出来る。

また、想いがあってもやはりお金がなければ出来ない事は沢山ある。
その点でいえば2代目社長は恵まれているのだろう。
創業者と2代目の社長の役割に関しての観点からもとても面白い。

かつて所沢で大問題になった「ダイオキシン風評被害」。その騒動の陰で、ある意味で農家以上にその渦中に放り込まれ、大バッシングを受けた企業があったとは知りませんでした。それが著者が受け継いだ石坂産業でした。

バッシングにより、いち早く実装していた15億円をかけて作ったダイオキシンを出さないための焼却炉も廃炉にせざるをえなくなり、男性ばかりの荒れた職場で、30歳にして２代目女社長として会社を継ぎ、社員の4割が辞めていくという絶体絶命の状況。これ以上の逆境はそうそうないでしょう。
　
これだけの逆境からはじめるなら、ゼロから新しい組織を作るほうがよっぽど楽です。しかし、本当に凄いのは、どん底から這い上がったばかりでなく、会社をまったく新しい姿へと再生させたことです。今や広大な里山にはホタルが生息し、現在では、夏祭りに地域の人が700名訪れ、トヨタ、全日空、日本経営合理化協会、滝川クリステル氏、中南米・カリブ10ヵ国大使……全国だけでなく世界中から何千人という見学者が訪れるようになったのです。
　
なぜそんなことが可能になったのか。経営方法や、考え方や生き方、チームの作り方など参考になることばかりですが、この逆境に比べたら、自分がいま抱えている悩みなど悩むに値しないと思えてしまう“悩み解消本”でもあります。
　
そして高い志を持ち、ひとつひとつ成し遂げていき、一歩一歩歩みを進めることで、１０年あれば大きく変えていくことができるということを、身をもって教えてくれる“希望の本”でもあります。また前面には出ていませんが、著者の深い愛と高い志がハーモニーを織りなし、通奏底音のように流れているそんな稀有な本です。
　
こんな逆境の時代だからこそ、一人でも多くの人に手にとっていただきたい、心からそう思える本です。