戦う村の民俗を行く (朝日選書) の感想

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参照データ

タイトル戦う村の民俗を行く (朝日選書)
発売日販売日未定
製作者藤木 久志
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022599438
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

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同シリーズの前著『土一揆と城の戦国を行く』(2006年)から2年後に刊行された本書は、従来からの”中世の戦う村”論をより民俗学的な側面から捉えた一冊。
村人の名主と領主の対立から、戦国の大名が、領主と名主や農民間を分断して支配下に組み込んでいく過程と、その間に村々で起きる諸問題を捉えた「戦う村」。秀吉による奥州仕置とそれに対抗する領主たちの動静を探りながら、名護屋城に東西の大名が滞陣したことによって、奥羽の大名たちの意識が変化し、古き奥羽の戦国が終わっていくまでの様を論じた「奥羽の戦国」。蘆名滅亡後の旧臣たちの軌跡を、上杉景勝のいた越後側から追った「戦国望郷の歌 蘆名滅亡によせて」。著者の「惣無事令・平和令論」(『豊臣平和令と戦国社会』)をベースにして、奥羽仕置の中でそれを検証していった大著『奥羽仕置と豊臣政権』『奥羽仕置の構造 破城・刀狩・検地』(小林清治)を読み解きながら、いくつかの反論などを示した「「奥羽仕置」論の視座」。若くして亡くなった中野豈任氏が構想し、描き上げられなかった霊場論を解説し、その立論の方法を紹介・検証している「「信仰地域論」の方法」他を収録している。

巻頭に掲載された「戦う村」と続く「奥州の戦国」は特に読み応えがあり、戦国大名のあり方や村とのかかわりあい方をいろいろと考えさせられる。また、本書で初めて知った霊場論については、今後継承していく研究家が現れることを切望せずには居られない内容である。どの論も、従来からの著者の論をさらに具体化・深化させたようなもので、目新しさはあまりないが、戦国という時代を一層深く理解してゆくには格好の一冊といえよう。

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