ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック の感想

　臨床医学の進歩は速い。自分の専門領域はともかく、関連する領域の知識は絶えず更新する心構えがないと一昔前の治療を施してしまう懸念がある。とくに糖尿病治療は5年もすれば第1選択薬が変わっていることも珍しくない。日々の診療でまみえる糖尿病の患者さんは多く、「すべて専門医に紹介」というわけにはいかない。
この本は、「糖尿病初発の患者さんにどう対処するのか？」「インスリン投与中に経口薬に切り替える方法は？」など日常的に遭遇する疑問に答えてくれる。

なによりありがたいのは、治療法の提示がわかりやすいこと。「やせ形の2型糖尿病にはまずDDP−4阻害薬」「高齢者にオイグルコンは処方しない」など、非専門医にとってはストンと腑に落ちる内容だ。
もちろん理論的な裏付けについても詳細な記述があるが、読み飛ばしも可能だろう。糖尿病診療の最前線で活躍中の専門医が協同執筆しており、自らの経験を症例報告として載せてくれているのも親切だ。

糖尿病非専門医の開業医、専門医がいない病院勤務医にとって役にたつ好著である。0