くちづけ の感想

ひまわり荘の輪の中にいるような気持ちで読みました。
いっぽんさん、まこちゃん、ひまわり荘の住人たちのことも、その支援者たちのことも、愛おしく思いながら読みました。
読み終わって涙をぼろぼろこぼしながら、カバーの下の鮮やかな表紙を見、いろんな思いになりました。
ひまわり荘の日々をつづった部分は、幸福感と明るさに満ち溢れていて、おとぎ話のようでした。
ラストに向かう中、「この子を一人で残してはいけない」といっぽんさんに決断させるに至るエピソードの数々は、それまでの物語と対照的に、とても現実的で切実で、心が痛みました。
作品を通して「どうしたらこんな事件は起こらなかったか？」と問われたように感じましたが、どういう答えがあるのか、現実的な正解になるのか、まだ分かりません。
たくさんの人に知って頂きたい物語です。たくさんの人に一緒に考えて頂きたい問題です。
私も答えを探したいと思います。

今日、一気に読みました。
知的障がい者とその家族、とりまく人々・・とても考えさせられる本でした。
今の日本が、なんと生きづらい社会になっているのか・・。世間の隙間というか、ゆるさのない世の中になったしまった・・。
昔、社会保障制度がきちんとしていなかった頃のほうが、まだましではないのか？
私は高齢者に属する世代ですが、子供の頃は、町内で、そういう人たちがごく普通に暮らしていた
ような気もするのです。でも、確かに母子心中というものも、よく新聞に載っていましたね・・。
小説の中で、確かに笑いも沢山あるのですが、とてもよく現実を取材されて書かれているのが
分かります。
あー、そうなんだという現実がきちんと書かれています。
読みやすい文体ですが、重いテーマでもあるということがしっかり主張されていると思います。
カバーをめくると、とてもキュートで美しい装丁でした・・。
多くの人に読んでいただきたいし、映画も是非！！