災厄の町〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) の感想

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参照データ

タイトル災厄の町〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
発売日販売日未定
製作者エラリイ・クイーン
販売元早川書房
JANコード9784150701512
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

原題 Calamity Town (原著1942年刊)

国名シリーズで純粋論理としてのミステリを極めたクイーンの新境地。架空の町ライツヴィルを舞台とした年代記最初の作品であり、町を代表する旧家ライト家で起きる殺人と、それが田舎町の人間模様にもたらす波紋を克明に描く。
古き良きアメリカを思わせる小都市ライツヴィルの住民たちが殺人と醜聞によって猜疑心に苛まれて行く様は、まるでアメリカという国が抱く光と影を象徴するかのようであり、マッカーシズムへの抗議を込めた迫力満点の傑作『ガラスの村』(1954年)に顕著な社会性の萌芽が既に見られる。
まさにクイーンが自負したように見事な完成度の小説であり、当時従来の版元が出版を拒否したという逸話は逆説的に本書の斬新さを示すものだろう。さらに些細な手がかりから導き出される華麗な論理展開の興趣と悲劇的な物語がもたらす感動が相まって、代表作と呼ぶに相応しい達成を見せている。

なお青田勝による旧訳は一部短縮処理された版に拠っているという問題点があり、加えて今回の版では重大な翻訳上の解釈変更が行われている。その為この新訳は非常に意義深いものとなっている。変更理由は訳者あとがきに詳しいが、物語の根本に抵触する為、必ず読了後に目を通されたい。

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