Lady Chatterley's Lover (Bantam Classic) の感想
参照データ
タイトル | Lady Chatterley's Lover (Bantam Classic) |
発売日 | 1983-11-01 |
製作者 | D.H. Lawrence |
販売元 | Bantam Classics |
JANコード | 9780553212624 |
カテゴリ | » 洋書 » By Publisher » Random House |
購入者の感想
現代の基準でこの作品を読むと「保守的」ということになるのだろう。一対の男女が、肉体と精神の両面から全人格的に自分を互いに捧げ、一生を添い遂げるのが理想の男女関係であり、それは結婚という形態において昇華されうるという考え方だからだ。今だったら、「生活のパートナーと性のそれは別よ」と割り切るような関係もあるし、全人格を捧げるなんてかえって「うざい」というような場合もあるだろう。しかし、この作品が一種の普遍的価値を有するのは、チャタレイ夫人とクリフォードの問題はやはり現代の男女が抱える多くの問題でもあるからだ。人間にとっての「親密性」は時代とともに変遷してきたが、性を制度的なものを超越し、生を称揚する営みとして全うすることは、現代に生きる我々にとっても大きな課題であり続けている。ましてや、ヴィクトリア朝時代の性的モラルを引きずる当時においてこの作品が与えたインパクトは想像するに余りある。最後に英語のことを書く。格調は高く、今はもう使われないような表現もあるが、なかなか判りやすく、かなり英文を読み込んできている方であれば問題なく読めるだろう。ただ、Mellorsが方言と思しき言葉遣いをするので、その部分だけはやや解りにくいが、それほど多くはないので、本作を原文で読むための妨げにはならない。