恋しるこ 料理人季蔵捕物控 (ハルキ文庫 わ 1-29 時代小説文庫 料理人季蔵捕物控) の感想
参照データ
タイトル | 恋しるこ 料理人季蔵捕物控 (ハルキ文庫 わ 1-29 時代小説文庫 料理人季蔵捕物控) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 和田 はつ子 |
販売元 | 角川春樹事務所 |
JANコード | 9784758438667 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説 |
購入者の感想
このシリーズ、事件やドラマと季蔵の考案する料理の配分が半々、いやむしろ料理の創意工夫のほうに力点が置かれている感が強いのですが、今回は、むしろ人間ドラマの温度のほうが高く、季蔵は料理でその媒介をする、という立ち位置になっています。
冬らしく生鮭料理、おこわ、薬膳雑煮、しるこ、とほかほかの料理が並びますが、これら4つの物語はただ並ぶのではなく、登場人物が次々に芋づる式につながって、新たなドラマを生み、物語をふくらまし、そこから生じた料理もパズルの一片となって、さらに別の家庭ドラマを引き出す、という緊密な流れになっていて、最後まで本を置くことができません。
そして今回は人情の熱度が高いというか、ぐいぐいドラマに引き込まれてしまいました。
婿養子ながら婚家に居づらく出奔してしまった父、かどわかしにあった海苔屋の息子の行く末、姪に迎えるはずの婿が惚れた相手が実は・・の悲劇、惚れた女のためにたった一度、炎の色の下駄を盗んで人足寄せ場送りになった火消し。
どれもお芝居のような鮮やかな盛り上がりを見せる物語で、最後は、季蔵の心まで行動に駆り立てることに・・・
こうした人情ドラマの中での料理は、正月という季節もあいまって、挑戦というより、みなへの土産やふるまいとなる面が多く、食い道楽の奉行、南町の同心、酒好きのその飼い犬、隠居、元噺家、棒手振りの夫婦などシリーズの常連たちが、次々顔見世のように訪れ、舌鼓を打ってゆきます。その点もめでたく、心温まる新年の一冊となっています。
(毎回、料理も含めて、冬の巻に佳作が多いような気がします)
冬らしく生鮭料理、おこわ、薬膳雑煮、しるこ、とほかほかの料理が並びますが、これら4つの物語はただ並ぶのではなく、登場人物が次々に芋づる式につながって、新たなドラマを生み、物語をふくらまし、そこから生じた料理もパズルの一片となって、さらに別の家庭ドラマを引き出す、という緊密な流れになっていて、最後まで本を置くことができません。
そして今回は人情の熱度が高いというか、ぐいぐいドラマに引き込まれてしまいました。
婿養子ながら婚家に居づらく出奔してしまった父、かどわかしにあった海苔屋の息子の行く末、姪に迎えるはずの婿が惚れた相手が実は・・の悲劇、惚れた女のためにたった一度、炎の色の下駄を盗んで人足寄せ場送りになった火消し。
どれもお芝居のような鮮やかな盛り上がりを見せる物語で、最後は、季蔵の心まで行動に駆り立てることに・・・
こうした人情ドラマの中での料理は、正月という季節もあいまって、挑戦というより、みなへの土産やふるまいとなる面が多く、食い道楽の奉行、南町の同心、酒好きのその飼い犬、隠居、元噺家、棒手振りの夫婦などシリーズの常連たちが、次々顔見世のように訪れ、舌鼓を打ってゆきます。その点もめでたく、心温まる新年の一冊となっています。
(毎回、料理も含めて、冬の巻に佳作が多いような気がします)