百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫) の感想

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参照データ

タイトル百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)
発売日販売日未定
製作者中田 永一
販売元祥伝社
JANコード9784396336080
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » な行の著者

購入者の感想

発売当初に購入しましたが、一年に一度は読み返します。
四編とも恋愛小説ですが、ただハッピーなだけの話ではありません。

主人公達は一様に自分を卑下している者達で、とても不器用。そんな主人公達が不器用なりにも繰り広げていく恋愛模様に胸が締め付けられます。
物語の舞台は何の変哲も無い日常ですが、よくもまあこんなにも惹きつけられる話をかけるものですね。中田氏の頭の中を覗いてみたいものです。

どの話も物語の最後をハッキリと描かない所にもやもやしますが、逆にそこが面白い所であり読み終えた時にニヤニヤさせます。
そしていずれの話も伏線が張ってあり、上手に回収するのはさすがですね。

なんだか中田氏の他の話が読みたくなってきたので、「白・黒」両方読み直そうかな。

装丁が美しく、目について購入しました。
初めて読む作家さんですが、どうやら新人の方らしいです。
(みなさんのレビューからすると覆面作家?)
短編ごとの感想を。

『百瀬、こっちを向いて』
幼馴染の先輩に頼まれて、強気な女の子百瀬と恋人のフリをすること
になった主人公ノボル。「偽装恋人」から恋が始まります。二人の心
に芽生えていく感情。その移り変わりがたまらなく愛しいです。叙情
的で端正な語り口、ひらがな交じりの文体が穏やかな気持ちにさせて
くれる作品でした。

『なみうちぎわ』
海の事故で植物状態になった少女が、五年の歳月を経て目覚めた場面
から物語は始まります。回想から、少年の家庭教師をしていた彼女が
事故に至るまでの経緯が少しずつ明らかになり、見えてくる真実…。
伏線の引き方も上手ですし、ライトなミステリーという印象でした。
静かで、情景が浮かぶような描写力に脱帽しました。

『キャベツ畑に彼の声』
親戚から貰ったテープ起こしのアルバイトを通して、国語教師の覆面
作家としての顔を知ってしまった少女の物語。これは伏線の巧妙さに
唸りました。そして何よりキャベツ畑の描写。これが主人公の内面と
リンクして、少女の恋心を瑞々しく印象付けています。爽やかな結末
にも納得です。大変優れたストーリーテラーだと思います。

『小梅が通る』
タイトルから少し古風な印象を受けますが、実際の内容は少年少女の
真っ直ぐなラブストーリーです。この短編で最も特筆すべきは奇抜な
「設定」ではないでしょうか。ここで語ることは野暮なのでしません。
過去に親友と信じていた同級生から投げかけられた言葉。それに縛り
つけられた彼女がそれを乗り越えていく姿にほろりと涙が零れました。
コメディタッチの書き口も絶妙です。素晴らしい、の一言に尽きます。

全体として、非常に完成度の高い作品群だと思いました。新人という

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祥伝社から発売された中田 永一の百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)(JAN:9784396336080)の感想と評価
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