貝と羊の中国人 (新潮新書) の感想

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タイトル貝と羊の中国人 (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者加藤 徹
販売元新潮社
JANコード9784106101694
カテゴリ »  » ジャンル別 » 人文・思想

購入者の感想

中国は殷人とそれを滅ぼした周人の文化を基盤にして成り立っているという。

中国大陸の東方に住んでいた農耕民族的な殷人は目に見える財貨を重んじてきた。その仲立ちをしたのが貨幣としての貝だった。貝を要素とする多数の漢字、寳、財、貸、貧、賞などその名残である。殷はまた商とも言った。商人とは殷人のことである。

一方、殷を滅ぼした周は羊に基づく西方の遊牧文化の民だった。東方農耕民族の殷人が多神教的だったのとは反対に西方の遊牧民族的周人は一神教的だった。一神教的神は目に見える物質的な捧げ物より、善、義、儀など抽象的な行為を好む。これらの漢字には羊が含まれている。その他、美、養、犠、議、羨など、抽象的な行為に関するものが多い。

中国人の実利の追求には凄まじいものがあるが、その反面、儒教に代表されるイデオロギーに殉じるのも同じ中国人である。現在中国の政治は共産主義、経済は資本主義の淵源はここにあるという。

この貝の文化と羊の文化から出発して、著者は流浪のノウハウ、中国人の頭の中、人口から見た中国史、ヒーローと社会階級、地政学から見た中国、黄帝と神武天皇、中国社会の多面性と説き進める。どの項目も非常に深い洞察と示唆に富んでいる。

また「支那」呼称についての解説は今まで接したどの説明よりも当を得ている。

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