薔薇の名前〈上〉 の感想

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タイトル薔薇の名前〈上〉
発売日販売日未定
製作者ウンベルト エーコ
販売元東京創元社
JANコード9784488013516
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » イタリア文学

購入者の感想

本書は、イタリアの時代小説のような一面もあり、ある程度歴史的文脈を押さえておかないと分かりにくいと思いますので、この場をおかりして、簡単にその文脈の説明をさせていただきたいと思います。ネタバレはありません。おそらくイタリアの方にとってさえ、一部の歴史の愛好家、専門家をのぞくと、このような説明は必要なのでは、と失礼ながら思ってしまいます。ウベルティーノ・ダ・カザーレやベルナール・ギーという名前を聞いて、あああの人か!というくらいの知識を持っている方が主要な読者として想定されていると思います。ウィリアム・オッカムって誰?というような方には、すいませんが、かなりしんどいと思います。ですから、この本が、訳注も全くありませんし、日本でベストセラーになったのはちょっと不思議な感じがします。

舞台は1320年くらいですが、まず、その前の1200年代まで遡る必要があります。その頃、神聖ローマ皇帝、シュタウフェン朝のフリードリヒ2世と、ローマ教皇の対立が激化していました。フリードリヒ2世は、ドイツと南イタリアを領地として持っていました。要するに、北イタリアとローマを中心とするバチカンの領土を挟み込んだ広大な領土をもっていたわけです。それ以前から長い時代、神聖ローマ皇帝とバチカンは激しい覇権争いをしていましたから、フリードリヒ2世はこの機会に北イタリアとバチカンの領土をも併合し、今のドイツとイタリアを合わせたような大帝国を作ろうとします。長年の教皇とローマ皇帝の対立に永遠の終結をもたらそうとしたわけです。自前の軍隊を持たないバチカンにとってはとてつもない危機的状況です。

しかしこの争いになんとバチカンは勝利します。どうやって?ドイツ系のシュタウフェン朝と対立していたフランス王権を味方につけたのです。そこでご褒美として、南イタリア、シチリアは、フランスのアンジュー家の領地になり、シュタウフェン家は断絶し、神聖ローマ皇帝位は空位時代に入ります。

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