わたしたちの体は寄生虫を欲している (ポピュラーサイエンス) の感想

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参照データ

タイトルわたしたちの体は寄生虫を欲している (ポピュラーサイエンス)
発売日販売日未定
製作者ロブ・ダン
販売元飛鳥新社
JANコード9784864102599
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » サル・人類学

購入者の感想

共生している細菌群まで考えると、生物って本当に良く出来てるなあと感心しています。
何億年もかけて進化適応し続けてるわけですから、諸行無常の世界を生き抜いてるわけですから凄いですね。

人間の祖先が自然とのかかわりを通して獲得していった身体機能が、私たちの体にどのような形で残され影響を与えているのかを解説した本。

先進国の環境はどんどん清潔になっている。しかし、一方で、自己免疫性やアレルギー性の疾患が一般的になっている。これらは、抗生物質や抗菌ティッシュで退治するというわけにはいかない。一般的に病気は他の種が体内に入ることによってもたらされると考えられているが、腸内の善玉菌のように他の種がいるからこそ健康が保たれているものもある。人類は、自然との付き合いの中で、そのような野生の微生物や寄生虫に悩まされてきただけでなく、うまく依存関係を結んできた。体内で戦う相手を失った免疫系は暴走して自分の体の組織を攻撃しはじめる。また、腸内に細菌がいない脊椎動物は、ビタミンB群を十分に合成できず、ビタミンKにいたっては全く合成できなくなる。虫垂は腸の細菌の待避所もしくはそれを補充するのが本来の役割だったという。

人間は、自然を自分たちのために利用する段階で逆に自然の淘汰を受けている。西洋人のほとんどは牛乳を消化する酵素を持っているが、これは乳牛を家畜化して乳製品への依存度が高まってゆく段階において、そのような酵素を持っていない方の人々は消えていったからだという。穀物も同様で、農業が一般化する過程は、デンプンを分解するアミラーゼの分泌を促す遺伝子を多く持っている人々に有利に働いた。

 「おやっ」と思わせられる邦訳タイトルである。また、帯にある瀬名秀明氏のことばにも惹かれるものがある。「この本の結末はわれわれをどこに連れていってくれるのだろう」と、そんな期待を抱きながら読んだ1冊である。
 かつて、われわれの身のまわりにはもっと多くの生物たちがいた。文字どおり周囲の環境にも、体表にも、そして体内にも。そうした生物たちとのつながりが失われたいま、われわれにいったい何が起きているのか。本書はその点を追及する。
 ひとつの例が、寄生虫とクローン病との関係である。衛生的な生活環境の普及や薬の服用などによって、寄生虫はわれわれの腸内から姿を消していった。しかし、そのことが逆に、われわれに不健康をもたらしている面もあるという。すなわち、裕福な都市でこそみられる、クローン病などの新たな病気の増加がそれだというのである。
 この考えは、じつはそれほど馬鹿げたものではない。というのも、ヒトの身体はもともと、そこに寄生虫がいるのが当然という状況のもとで進化してきたからだ。そこで実際、クローン病患者の体内にブタの寄生虫を入れてみたところ(!)、なんと患者たちの大半が快方に向かったという。そしていまでは、そうした寄生虫を求めて、果敢にも自ら旅をする一般人までいるというから、これまた驚きである。
 ほかにも本書では、都市に捕食者を放つというアイデアや、巨大ビルの壁面を農園にするという取り組みなど、われわれの野生生活を取り戻そうとする、さまざまな興味深い試みが紹介されている。著者の筆致も軽やかであるため、読者も前のめりのまま最後まで読み進めることができるのではないか。
 では、この本の結末はどうだったのだろう。正直言うと、わたしにとってはそれほど「衝撃的」ではなかった。まあでも、その点を差し引いても、本書は十分に楽しめる内容だと思う。0

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