赤の女王 性とヒトの進化 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル赤の女王 性とヒトの進化
発売日2014-11-28
製作者マット リドレー
販売元早川書房
JANコード登録されていません
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » イギリス・アメリカ

購入者の感想

 『繁栄』や『やわらかな遺伝子』(いずれもハヤカワ文庫)の著書があり、一級のサイエンス・ライターとして知られるマット・リドレー。本書は、そんな著者が「性の進化」について論じた啓蒙書である。なお、原書の初版刊行は1993年だが、今回の文庫化にあたっては、原書の2003年リプリント版を参照しているとのこと。テーマがテーマなだけに、大変ありがたい対応だろう。
 本書の構成は、大きくふたつにわけることができる。まず、性の進化にまつわる一般的問題が論じられている前半部(第2章〜第5章)。そこでは、具体的には、「なぜ性は存在するのか」「なぜ性はおもにふたつなのか」「性淘汰はいかにして生じるのか」といった問題が考察されている。他方、続く後半部(第6章〜第10章)では、ヒトの性と本性に焦点が当てられている。「ヒトの一夫一妻制はどのようにして成り立っているのか」「男と女は異性のどこに魅かれるのか」「ヒトの脳はなぜ大きいのか」ということが、そこで検討される問題である。そして、「性淘汰という概念を用いて、ヒトの本性の解明にせまること」(訳者あとがき、549頁)が、本書の最終的に目指すところだ。
 本書のなかでキーとなるのが、タイトルにもある「赤の女王」というアイデアである。『鏡の国のアリス』のなかで、赤の女王は走り続けるものの、周囲の事物(風景)もつねに彼女についてきてしまう。それと同様に、ある生物が進化し、敵対者との競争に一歩先んじたとしても、ほどなくして敵対者も進化し、対応戦略を打ち立てる。Aが進歩すれば、Bも進歩し、Bが新戦略を生み出せば、今度はAも対応戦略を繰り出す。捕食者と被食者、寄生虫と宿主、オスとメス、そして遺伝子と遺伝子もしかり。「進歩と勝利はつねに相対的」(38頁)で、「ゲームに勝ったところでまた次のゲームに進まなければならない」(39頁)。この点をしっかり心得ておくことが、進化の問題を考える際には肝要だと著者はいう。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

赤の女王 性とヒトの進化

アマゾンで購入する
早川書房から発売されたマット リドレーの赤の女王 性とヒトの進化(JAN:登録されていません)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.